映画『新聞記者』
※2019年7月22日にCharlieInTheFogで公開した記事「きょうも生きています #99」(元リンク)を改題して転載したものです。
シネ・リーブル梅田、午後8時半からの上映で、観客はやはり高齢が多め。内調(内閣情報調査室)の描写も、新聞社側の描写もリアリティーがなく、かといってステレオタイプからも脱せず、中途半端で不必要な演出ばかり。話の筋も納得行かず、主人公の記者も、内部告発する官僚もすべての動作に隙がありすぎて、お遊戯会かよと思った。
シム・ウンギョン演じる主人公をアメリカ育ちの設定にして、ややたどたどしさの残る日本語で喋らせたのは、記者賛美のハードボイルド感を抑える意味合いでうまいなあと思ったし、北村有起哉演じるデスクとのやり取りは(その内容はやっぱり軽率すぎて納得行かないけれど)空気感は面白かった。何より田中哲司の怪演は、ステレオタイプな役柄ではあるけれど、きっちりハマっていた。そういう意味でキャストの皆さんは頑張っていたと思う。
でも、同じ汚れ仕事をやらされる官僚の妻という点で共通する西田尚美と本田翼とで、夫の仕事の把握度がまるで違ったり、内部告発のためにキーマンの仕事部屋に潜入する松坂桃李も、そんな感じで書類漁ったら証拠残り放題やないかという感じだったりと、サスペンスエンタメとしてもあまりに脇が甘すぎる。
ここのところ、見る映画すべて当たりという感じだっただけに、こんなに長く感じた2時間はなかった。3時間半ある『ニューヨーク公共図書館』のほうが体感的には断然短い。
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