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※2021年5月4日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。 25歳にもなると、「普通」を生きることの背景にどれだけの努力があり、計り知れない困難があるかということが分かってくる。とはいえまだ25歳なので、「普通」との折り合いの付け方はそう簡単に定まるものでもなく、何について頑張るか、何については縁がなかったこととするか、その整理に迷う。 本作の主人公の一人、秋本香住(清原果耶)は自らを恋愛上級者と思い込むわりに、彼氏がいたことは
※2021年5月3日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。 誰が言い出したことなのかは判然としないが、「人は二度死ぬ」という金言を僕は永六輔が語ってきたものとして知っている。一度目は肉体的な死であり、二度目は人々から忘れ去られた時。だから誰かの記憶の中にその人が存在する限り、人は「生きて」いる──。そういう話であった。 つまり「不在」は消えてなくなってしまったものではなく、「存在」の形態の一つなのだ。この映画のキャッチコピーは「
※2021年5月1日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。 自分の身体を自分のものとして自由に扱うことの難しさを描く映画として見た。東京・松濤の開業医の家庭で箱入り娘として育てられた三女・榛原華子(門脇麦)の一挙手一投足は、高家で教育されたものである。婚約した弁護士・青木幸一郎(高良健吾)の家を訪ねれば、ふすまの開け閉め、敷居のまたぎ方、座布団までへの移動とその全てが見られており、華子は華子でそのチェックを難なくクリアできる。後に出