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リージェントは日米合作! 《リージェント⑦:最終回》

■前回からの続きです。

・ジムビーム7代目マスターディスティラー:フレッド・ノウ
・サントリー5代目チーフブレンダー:福與伸二

この2人がコレボしてつくりあげた新しいアメリカンウイスキー「リージェント」。

このウイスキーは、
・バーボン原酒(ホワイトオーク新樽)
・赤ワイン樽原酒
・シェリー樽原酒
をブレンドしてつくられている。

LEGENT(リージェント)|サントリー

サントリーのシングルグレーン知多も
・ホワイトオーク樽原酒
・赤ワイン樽原酒
・スパニッシュオーク樽原酒(≒シェリー樽)
をブレンドしてつくられている。

サントリーウイスキー「知多」とは?|サントリー

バーボン原酒も知多グレーン原酒も
・コーンを51%以上使用
・連続式蒸溜機で蒸溜
という点でも共通している。

ここまでが前回までのお話です。


■バーボンの木樽熟成規定

バーボンは「内面を焼いたホワイトオークの新樽」でしか熟成させることができないと、法的に決まっています。

この「内面を焼いたホワイトオークの新樽」で熟成させると独特のバニラ香が強くつきます。
(逆にスコッチやジャパニーズでは、フレーバーが強くつき過ぎるので、新樽を使用することはあまりありません。)

そしてこの木樽熟成規定による特徴的な味わいこそがバーボンたらしめている要因ではありますが、逆にこれがバーボンの木樽熟成の可能性を狭めている原因でもあるのです。


■リージェント開発の発端

日米のウイスキー界のレジェンドは、この「バーボンの木樽熟成規定に囚われない」ことで、新たなアメリカンウイスキーの可能性にチャレンジしたのです!

the Legend 2人のレジェンド
2014年にビーム社とサントリーが統合したことをきっかけに、ノウと福與は“これからのウイスキー”について一層語り合うようになりました。成熟しつつある市場に向け「新しい香味づくりにチャレンジすべきだ」というビジョンのもと、まず福與がアメリカ文化とバーボンの神髄を学ぶためジムビーム蒸溜所を訪れ、自らのブレンドテクニックでバーボンの新しい可能性を引き出すよう試行錯誤を重ねました。

ふたりのレジェンド | LEGENT(リージェント)|サントリー

そして、その新たなアメリカンウイスキー原酒をつくり出すため、木樽熟成に用いられるようになったのが、シングルグレーン知多で使われている「赤ワイン樽」「スパニッシュオーク樽≒シェリー樽」だったのです!


■知多でプロトタイプ

・バーボン原酒で使うホワイトオーク材以外での木樽熟成

・様々な木樽熟成原酒を組み合わせるブレンド技術

これらによる「新たなアメリカンウイスキーの可能性」を見出した福輿チーフブレンダー。

日本へ帰国後、バーボンと同様に「コーンを51%使用」して「連続式蒸溜機」で蒸溜してつくられている知多グレーン原酒を使って、リージェントのプロトタイプをつくり、その着想の実現性を探っていったそうです。


■日米のレジェントの合作

今一度、リージェントの構成原酒を確認してみましょう。

まずは、ベースとなるバーボン原酒を、2020年ISC:マスターディスティラー・オブ・ザ・イヤー受賞しているバーボン界のレジェンド:フレッド・ノウがつくり上げます。

※ISC=International Spirits Challenge
イギリスで毎年開催される世界的な酒類コンペティション

その後、バーボン原酒を「赤ワイン樽」や「シェリー樽」で後熟させて新たな原酒を誕生させるのはジャパニーズウイスキー界のレジェント:福與伸二が担当。

その後の

① フレッド・ノウが仕込んだ「バーボン原酒」

② フレッド・ノウが仕込んだバーボン原酒を、福與伸二が後熟させた「赤ワイン樽原酒」

③ フレッド・ノウが仕込んだバーボン原酒を、福與伸二が後熟させた「シェリー樽原酒」

この3つをブレンドするには、2024年ISC:マスターブランダー・オブ・ザ・イヤー受賞を受賞したサントリー福與伸二!

野球のオールスター戦のような、なんとも豪華なお話なのです!


■さらにこだわりが

さらに細かなこだわりとしては、「赤ワイン樽原酒」も「シェリー樽原酒」も、絶妙に赤ワイン樽・シェリー樽のフレーバーがつくタイミングを、テイスティングによって見極めて後熟を終えます。

また、リージェントに使われる赤ワイン樽は、アメリカワインの熟成に使われてアメリカ西海岸のものを取り寄せて使っています。

通常、ワイン樽は一度使用すると硫黄燻蒸といって、硫黄を燃やして樽内を殺菌しますが、リージェントの目指す味わいの実現のため、リージェントには硫黄燻蒸を実施していない赤ワイン樽を使用してるそうです。

◇ワイン樽の硫黄燻蒸とは
2020.10.19 樽洗浄と樽燻蒸をする

こういうこだわりは愛好家にはグッと来ますね!


■日米のレジェンドの共演

色々書いていたら、日米ウイスキー界のレジェンドがつくり上げたリージェントを飲みたくなって来ましたね。
今夜はリージェントのハイボールを堪能したいと思います!

以上で長々とご紹介させていただきましたリージェントについてのお話を終了させていただきます。
お付き合いいただき、ありがとうございました!

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