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バーボンも麦芽100%で蒸溜したい!《バーボンのスコッチ化②》

■前回のまとめ

・最近は、カスク・フィニッシュという「一度木樽熟成させたウイスキー原酒を、他の木樽に移し替えて、それまでの熟成とは異なるフレーバーを新たに加える手法」が増えてきた。

・バーボンは法的に「内面を焦がしたオークの新樽」しか使えない。

・しかし、これだけカスク・フィニッシュなどが流行っていると、バーボンでもオーク樽以外でも熟成させた商品(例えばエンジェルズ・エンヴィ)が登場して来た。

・この流れはいわば『バーボンのスコッチ化』です。

そして他にも、「バーボンのスコッチ化」の兆しがありますよ!

今回はこの続きからです。


■有名なアメリカン・ウイスキー

・5大ウイスキーで2番目に売れているウイスキー銘柄

・一番売れているアメリカン・ウイスキー

この2つのヒントから銘柄を当たられた人は、なかなかのウイスキーマニアかと。

答えは「ジャックダニエル」です。

※5大ウイスキーの中で、世界で一番売れている銘柄となると、2位のジャックを突き放してジョニーウォーカーです!(ただし、インドのウイスキーを入れると上位はインドばかり)

実は他国の追随を許さないウイスキー大国『インド』 《インド①》|チャーリー / ウイスキー日記

※バーボンウイスキーで、一番売れている銘柄はジムビームです。ただ、法定義ではないですが、ジャックダニエルは自身を「バーボンでなくテネシーウイスキー」と言っているので、一般的にはジャックをバーボンにカウントしません。


■テネシーウイスキーとは?

バーボンとテネシーの違いは、テネシーの方に「バーボン+2つ」のレギュレーションが加わることです。

◇バーボンとテネシーの違い
(テネシーたるための追加レギュレーション)

・テネシー州でつくる
・チャコールメローイングする。(サトウカエデの木炭でろ過をする)

その他のレギュレーションは、バーボンと一緒です。

ちなみに、木炭ろ過はウォッカの製法として有名ですね。
味がすっきりします。

【ウォッカとは】ウォッカの定義・原料・製造方法・種類・代表銘柄を一挙解説!


■世界をザワつかせた有名銘柄の派生商品

しばらく前、このジャックダニエルから、世間をザワつかせる商品が発売されました。

その名も、

ジャックダニエル・シングルモルト

ジャック・ダニエルが初のコアレンジシングルモルトウイスキーを発売 | ウイスキーを好きになるメディア|Barrel-バレル-

ちょっとびっくりしますねー。

バーボン(&テネシー)は、原材料でコーンを51%以上使用しないといけないです。
この原材料における『コーン比率の高さ』は、「アメリカン・ウイスキーらしい味わい」を下支えするものだと思います。

それなのにアメリカン・ウイスキーNo.1銘柄のジャックダニエルが、麦芽100%の「シングルモルト」を発売したのですから、驚きますよね!?

コアレンジのシングルモルトの発売の前に、限定でジャックダニエルのシングルモルトを発売していたそうなので、入念に企画された商品なんだと思います。


■詳細スペックを確認!

ジャックダニエル・シングルモルトの詳細スペックを確認してみましょう!

◇ジャックダニエル・シングルモルト

・大麦麦芽100%
・焦がしたアメリカン・オークの新樽で熟成された後、オロロソ・シェリー樽で仕上げ
・チャコールメローイングを施す(テネシーウイスキーと同様)
・アルコール度数は45度(通常のジャックは40度)

「麦芽100%」という点だけでなく、オロロソ・シェリー樽でフィニッシュというあたりに『スコッチ化』の流れを感じますね!

これはバーボン(≒テネシー)業界によるチャレンジでもあり、ウイスキー愛好家には嬉しい限りです。

ただ一方で、No.1アメリカンウイスキーメーカーがシングルモルト(それもカスク・フィニッシュした原酒)を発売するくらいですから、人気を博しているスコッチ(やジャパニーズ)のシングルモルト・ウイスキーに対する危機感の現れでもあると思います。


■アメリカのウイスキー業界の動き

次回に続きます!

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