[読書]あのひとは蜘蛛を潰せない 彩瀬まる
再読後の記録です。
30歳目前のドラッグストア女性店長の日常。初回読んだときに感じたプロローグとエピローグ、登場人物の人間設計、小道具として使われる蜘蛛やさざんかの花の配置等については再読後も絶妙に感じる。
主人公の「かわいそう」「みっともない」という言葉への微妙な変化と、それに対応して見えてくる周囲の人々の見え方の変化が興味深い。
お話は大事件も起こらず地味な内容なので、人により好き嫌いが分かれるところとは思う。だが私には人物を描く著者の表現や言葉の使い方に押し付けがましさがなく、登場人物達への優しさが感じられる作品と思う。