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江戸の会読の系譜

 朝日の記者さんが江戸時代に行われた「会読(かいどく)」について紹介しています。江戸時代の知識人の間でグループを作り、1人が1つの書物の意味を講じ、他の者が疑問点をただし、討論に至る手法で、主に私塾や藩校で行われたものだそうです。


 松岡正剛さんのコラムによれば、江戸時代というのは階層がはっきりした社会であった。そのため、科挙のあった中国や朝鮮のように儒学の読書=学問が立身出世の道具にはならず、会読は純粋にお互いの読書力を高め合う集まりになったそうで、そこではお互いの意見を披露し合う自由闊達な意見交換の場だったようです。その1つ加賀藩の明倫堂ではみだりに自分の意見を正しいとし、他人の意見を間違いとすることは戒めたとのこと。

 それが明治になり、読書=勉強は東大→官僚や一流企業を目指す立身出世の道具の1つになってしまったため、会読は次第にその存在が薄れました。
そして現在、会読の流れを継ぐ読書会があちこちに存在します。何人かで読書をして、互いを高めるという美風は戻ってきたようです。

 ところが、ネットを中心として相手を論破するのを良しとする風潮があり、これが読書会に持ち込まれると、会読からの良い美風が失われる気もします。実際の読書会どうなっているのでしょう?


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