逢魔が時
逢魔が時とは昼から夜に移り変わる境目の時。もちろん季節によって時間は変わるが、その頃は日が沈みつつあり、周囲の暗さが増し夜の訪いを告げる時間でもある。
その切り替わる境は従来からあの世とこの世の境だとも言われ、そこから魑魅魍魎の這い出す出口とも、逆にこの世のものが引き込まれる入口とも言われていた。
これはかつて夜の明かりが少なく、外を歩くことに頼り無さが残る頃、出来るだけ外に出ることは避け、自分の棲家へ帰る為の戒めの一つであったと思う。子供達にはこの時間の魔物の存在を仄めかすことで安全な我が家へと誘い込み、人さらい等から守ろうとした。またそれは大人達も悪い夜の蝶の元へ行かぬよう。人さらいにさらわれぬ様に戒めたものだった。
ところが、現代において特に都市近郊では人工の明かりが増え、逢魔が時を怖がる子供も大人もいない。
だが夜にはあの世から来る魔物よりもっと怖い人間達がいる。気をつけねば。
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