自分の強みとの、むきあいかた。
『独り占めしてしまいたい』。自分の中の黒い部分が、そんな風に声を上げたような気がしました。その反面、『一人でも多くの人に届いてほしい』という、声の方が少し大きかったような気がして、書きはじめました。
神田さんと依田さんの、セールスライティング系の著書には、毎回驚かされながら、いつも手元に置いていて、お世話になっています。今回もまた、すごい内容だなぁと衝撃を受けました。
普段仕事をしているときには、自社のことや、商品・サービスについては、様々な角度から強みなどを説明したり、何か突っ込まれたとしても、反論することもできたりします。ところが、とっさに自分自身のことを問われると、強みや特徴を端的に説明することができないという方は少なくないように思います。日本人だけのことなのかもしれませんが、アピールすることが苦手だと感じる人も多いはずです。ただ、採用面接などの場面を考えると、逆にこの苦手なことを頑張らなくてはいけない。学生さんをはじめとして、就職活動自体が難しいのも、このような理由からなのではないでしょうか。
この本の中でキャリアコンサルタントについても触れられている場面がありますが、キャリアコンサルタント自身が、実は一番苦手にしているのも、『自分自身の専門性を端的に説明する』ということなのかもしれません。加えて、キャリアコンサルティングを進める中でも、傾聴で終わってしまって、そこからどのように展開していくのかということが苦手だという方も、時々お聴きすることがあります。
自分の中では明確に『こうしたい!』という思いがあったとしても、それが言葉として人に伝わらない限り、前に進むことは難しいと思います。伝わる言葉になるからこそ、どのように進めていくべきかが見えてくるのだと思います。
この本の中では、『AMMサーチシート』というシートを使いながら考えを整理して、それを並べ替えることによって、『伝わる言葉』として、思いを表現するという手法が紹介されています。誰もが自由に表現して、考えを発信できる時代。ただその中で、相手の方から見つけてもらうことはどんどん難しくなっていきます。だからこそ、自分の考えや思いを正しく伝えたい人に伝えるスキルがあるかないかで、行きたい方向に行けるかどうかが分かれるのではないかと思います。
キャリアコンサルタントの方にはもちろん、なかなか自分自身の考えをまとめて発信することがうまくいかないと感じている方に、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。
『あなたの強みを高く売る』
神田 昌典 ・ 依田 順一 著 SBクリエイティブ発行 を読んでの感想