未来につながる、設計と、位置づけ。
直接営業に携わっているわけではないのですが、時々営業周りの本にも目を通すようにはしています。デジタルトランスフォーメーションと言われるようになってから、システムの刷新などを積極的に勧めている会社は増えていますが、使いこなせている会社はそのうちにどれくらいあるかというと、かなり少ないように思います。
昨年辺りからちょくちょく、『セールスイネーブルメント』というキーワードを目にすることが増えてきて、見つけて手にしたのが、この本でした。
やり方を変える、システムを変える。このあたりは、上の人たちが好きで取り組んでいることも多いと思いますが、結局うまく機能しないということは多いように思います。誰も全体最適ではなく、部分最適、さらには個人最適な視点で考える人が多いからなのではないでしょうか。全体像やゴールを明確にするからこそ、何を変え、何を強化していくべきかが決まり、そのために必要なシステムや、協力を仰ぐべきことも決まっていくのが本来の動きなのだと思います。
sales enablment。この本の中では、『成果を出す営業社員を排出し続ける人材育成の仕組み』と定義していましたが、転職が活発な昨今において変化し続けている世の中に対応するためにも、基本の方をつくり、いかに早く独り立ちできるようにするかが、今まで以上に求められる世の中になっているのだと思います。もちろん、扱うサービスや商材によっても位置づけや取り組み方に違いがあったり、何ができるようになれば成功なのかという定義も違ったりしますが、この本の中で紹介されている事例なども参考にしながら、自社のフローを見直すこともできそうです。
長く同じ組織に属していると、それまでの変遷や変化の理由なども理解できて、新たな変更にも対応することが可能なことが多いように思います。ですが、新たに加わってくるメンバーは、それらを短期間の間に吸収しなければ、活躍の幅が限定的になります。人によるサポートにもムラや限界があり、誰が指導係としてつくかで、一人前になるかも、どれだけの活躍ができるようになるかも差が開いてしまうように思います。再現性を後押しするのが、部分的な改善ではなく、すべての流れを見直すことも含めた、変化なのではないでしょうか。
コピーなどを書くにしても、どの位置づけの言葉が今、必要なのか、誰の心を動かし、誰をサポートしなければならないのかが明確になれば、おのずとワードチョイスも変わっていきます。
全体最適と、その中での自分自身の役割を認識しながら働く大切さを、あらためて感じる1冊だったように思います。
『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』
山下 貴宏 著 かんき出版 発行を読んでの感想。
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