ずけずけ言い合うチームにしたいので、アシミレーションをやってみた
アシミレーションという人事施策があります。上司と部下の相互理解を促進して心理的安全性を高めるために、部下から上司にフィードバックをするというものです。今回それを自分のチームでもやってみたので、学びや注意点をまとめてみました。
なぜやろうと思ったか
今のチームはすごく良いチームで、みんないい人で仲が良いのですが、一つだけ注文をつけるとすると少し先回りして空気を読み過ぎかもな、とも思っていました。
「心理的安全性」には2つの側面があります。ミスを指摘されることを恐れてギクシャクした人間関係にならないこと。そしてもう一つが、ギクシャクする人間関係を恐れずに指摘しあえること。前者は良くできているのですが、後者はまだまで、もっと行ける気がしています。
また、白状すると僕自身がフィードバックをするのもされるのも苦手なところがあったりします。どうしても「これを言ったら傷つかないかな、モチベーションが落ちないかな」とか気にしたり、またフィードバックをもらいに行くのも気まずかったりしていけなかったりするんですよね。(そして、マネージャーになってからはこの「フィードバックをされる機会」がめっぽう減ったのでまずいとも思っています)
そんなときに GREAT BOSS という本を読み、その中に心理的安全性を高める工夫の一つに、「部下からのフィードバックを聞きに行く」というものがありました。それをやってみたい話を社内の人事の @jessica さんと
@rokumegu さんに相談したところ、「アシミレーションという手法があるよ」と聞いて、お二人に協力して実施をしてみました。
実際の手順
かかった時間
1回(対象者1人)あたり1.5時間
役割
フィードバック対象者:チーフ(マネージャー)
フィードバックする人:メンバー全員(マネージャーが対象者のときはチーフ全員)
ファシリテーター:マネージャー(マネージャーが対象者のときは人事の @jessica さん)
※自社内の役割の階層として、マネージャー → チーフ → メンバー となっています
テーマ
対象者の第一印象
対象者の良いところ/続けてほしいこと
対象者にカイゼンしてほしいこと
対象者に聞いてみたいこと
当日の進め方
全員集合&今日の趣旨&進め方をファシリテーターから説明(5min)
フィードバック対象者から、今の気持ちを一言で!(1min)
対象者が退出
フィードバックする人全員で miro にアクセスし、1テーマごとに付箋を書き書きする(2min × 4 = 8min)
miro はオンラインで付箋をペタペタできるツールですが、別のツールでも行けると思います
1人ずつ書いた内容を説明しながら miro にペタペタ貼る(5min×人数分で30min以内)
フィードバックする人が退出
対象者が入室し、付箋を眺める&対象者からの質問に対し、ファシリテーターが答える時間(7min)
フィードバックする人が入室
4つ目のテーマの質問に対して、対象者が答える(20min)
1人一言ずつ感想共有(一人1minで5minぐらい)
\お疲れ様でした!/
やってみた感想
アンケート結果
開催後に全員にアンケートを取ったんですが、こんな感じでした。概ね好評だったようで、良かった!
以下、良かった点と悪かった点について、様々なコメントをもらったので記載します。
良かった点
対象者の苦手分野のズレ埋めができたのが、今後もコミュニケーションをとる上でとても参考になる部分が多かった。
対象者だけではなく、他の人がどう思っているかを知れたのが良かった。
忖度なく意見を言い合う場が素敵だなと思った。
そもそも、こういった内面を話したり質問する場が少ないので、もっとコミュニケーションを取ろうと思うきっかけになった。
フィードバックを受けた内容の多くは自覚している点で、2 〜 3 割が自覚していない点だった。シンプルに自身の改善に繋がりそう。
対象者の考え方の背景など、人物理解が深まった。
悪かった点や、改善できそうな点(カッコ内は僕のコメント)
改善してほしいことはもっと辛辣な内容くるかなと思っていたら、そうでもなかった。当日のファシリや事前準備でもっと意見でるような工夫があってもよいのかも。
(これはたしかにで、僕自身、ファシリもっと上手くできるな〜と感じながら進めていました。)
時間帯がもう少し遅い方が嬉しい。架電数が減ってしまうため。
(これは午前中や日中の時間帯にやったためです。たしかにそうかも。)
時間が短く、考えるのに少し足りなかった。
改善してほしいところの伝わり方にズレがないかが気になった。一旦コメントした人が席を外して、ファシリが対象者に伝えるため。コメントを誰がどんなニュアンスで伝えたかったのかまではお互いに分からないため。
(これはたしかに、と思いました。一方で、全員がいる前でフィードバックすると防衛機制が働いて、本音のリアクションがしづらいのかなと思ってこのようにしました。たぶん、元の GE のやり方もそれを考慮している気がします。)
相手も人間なのでこの意見が何かしらの悪影響を生み出さないかが気になった。
対メンバーでもやってみて良いのかも。”ミニ・アシミレーション会”のような形で定期的にFBする会とか。
僕自身の感想
まず、自分がフィードバックを受けた際の感想として、とても良い経験だったと感じました。いくつか改善すべき点が指摘され、自分で気づいていたものも、気づいていなかったものもありました。しかも、自分で気づいていた箇所も他人から指摘されることで、「やはり修正しなければ」という気持ちになりました。ちなみに、5 年前に一度このような経験をしたことがあり、当時は「色々指摘されるのが嫌だな」と思っていましたが、実際に終わってみるととてもスッキリ感があり、良かったと感じました。今回も同様で、フィードバックを待っている間は「胃が痛ぇぇ〜」と感じるものの、終わってみるとやはり良かったと思います。
また、ファシリをやってて意見が出るのを眺めていて、対象者を通してメンバーそれぞれがお互いに意見を交わしていくことそれ自体がとても良い取り組みだったなと感じました。こういうフィードバックをする機会って、どうしても自分の価値観とか感情をある程度さらけ出して話さないといけないんですよね。普段の仕事での議論って、どうしてもコトに向かうことが多いですから、そうでない部分を見せあえるのは魅力的でした。
次やるときの注意点をあげるなら、「ファシリの熟練度が必要」と「オフラインのほうがいい」ということです。
僕は 3 回ファシリをしたのですが、だんだんと慣れてきて上手くなった自覚があります。もっとやると、もっと上手くできるかも。慣れていないと、なかなかメンバーの意見を引き出すのが難しいなと思いました。
また、3 回のうち 1 回だけは偶然オフラインでやったのですが、結果としてオフラインのほうが意見が出やすいと感じました。やる前は、オンラインでも各自 miro に向き合って書くだけだから同じと思っていたんですが、なぜかオフラインのほうが話しやすい気がします。
まとめ
そんなわけで、個人的にはためになる点が多かったため、半年後か1年後に再び挑戦したいと思っています。もちろん、このアシミュレーションだけでは心理的安全性が完全に解決するわけではないことは承知しています。それゆえ、この経験をきっかけに、チーム内で意見が言いやすい環境やフィードバックを促す雰囲気を継続的に向上させていきたいと思います。
さて、最後に宣伝です。僕は SmartHR という会社でインサイドセールスのマネージャーをやっているのですが、只今積極的に採用をしています!今回の note に書いたように、なるべくなんでも言い合える強い組織を作りたいと思っていて、「そういった環境で働きたい!」とか「そういう組織づくりをやりたい!」という方がいれば、ぜひぜひご応募ください。
おまけ
最後に、僕がアシミレーションで受けた内容を一部公開しておきます。
第一印象
優しいけど合理主義
パッと見は怖そう
べき論きらいそう、自由な発想が好きそう
わからないことをわからないと言う人
良いところ / 続けてほしいところ
積極的に落ちているボールをひろってくれる
セールス経験を活かして、積極的にセールスとのコミュニケーションに介入してくれる
良い感じにボケ及びツッコミを担当する
チーフの意見を尊重してくれる
改善してほしいところ
タスク抱え込みすぎないでほしい、振りたい仕事があれば振ってほしい
メンバーがどんな業務を行っているか、何に困っているのか、悩んでいるのかを知ってほしい
時々、裏の意図があるような質問がある
聞いてみたいこと
チーフ3名に対して思うこと
仕事でされてイラッとしたこと
エンプラ IS のあるべき姿
次のキャリア