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会議で発言する技術

チーフと1on1をする中で、しばしば「会議でどうやったら積極的に発言できるか」みたいな質問を受けるときがあります。
その質問が出るということは、その裏には「いろいろ思っていることがあるんだけれどあまりうまく纏まらなくて発言できない」とか「そもそも大勢を前にして話すタイミングが分からない」とか「自分の発言が的を射てないのではないか」といった感情がある気がします。

一方で、僕はこの「発言する技術」はまさにテクニックとして解決可能だと考えています。なぜかというと、僕がそうだったから。

ということで今回はそれらについて書きます。前提として、これは弊社における話なので、組織によってはいろいろと条件が違う気がします。

マインドセット

迷った場合、だいたい発言した方が良いシーンが多い

まず、多くの場合において「これ、ちょっと違うと思うけど言った方がいいかな?」と思ったことはだいたい言った方がいいです。これは経験則ですが。

もちろん、たまにはトンチンカンな発言になっちゃうこともあります。横道に逸れた発言で、会議の時間が押してしまうこともあります。
ただ、「自分が発言できてない」と悩んでいる人は、おそらく発言のクオリティのハードルがとても高くなっているので、気にしなくていいレベルだと思います。また、それらの微妙なズレは、明らかに数をこなして修正される類のものなので、気にしなくていいです。


あなたが全参加者の中でダントツでバカというケースは少ない

発言をできない人の中には、自分だけが分かっていない発言をすることで、見くびられることを恐れている人もいます。
ただ、これを経験則として「会議に出ている誰かが超絶バカ」というケースは少ないです。
そのため、あなたが「何言ってるか分からないな」と思ったとき、他の誰かも分からないケースが多いです。

なので、自分の発言は誰かを助けることにもなっている可能性があり、そう思うとちょっと気が楽になる気がします。

自分なんかが発言して良いのだろうか?は捨てる

過去にこんな記事を書いたので、まさにこのとおりです。
自分の立ち位置と発言は無視しちゃいましょう。

小手先の技術

ここからは、上記のマインドセットを持った上で、「それでもどうしていいか分からない人」向けの話。

発言してから考える

人は、言葉にしないと自分が何をモヤモヤしているのか分からないときがあります。「言語化」とはその名のとおり言語にしていないと解像度が上がらないため、頭の中で思ったことはそのままでは一向に理解が深まらないことがあります。
また、常に発言していない人は、発言に対するハードルがどんどん上がっていってしまいます。
だから、まずは発言することを目標に考えると良いです。「1つの会議で必ず一度は発言し続ける」とか。

よく、「発言しないやつは会議に出る意味がない」みたいな論がありますが、僕はそこまで過激には思っていません。ただ、しないよりした方がいいし、それは自分の成長にも繋がると思っています。

その時に僕がよくやるTipsを、次の項から紹介します。


「自分の理解のために確認なんですけど」という魔法の言葉

単純にオウム返しをするだけです。誰かがAと言ったら、「自分の理解のために確認なんですけど、それはA'ということであってますか?」というだけです。

それは無駄な発言では?と思うかもしれませんが、自分の言葉で置き換えて話すのは2つメリットがあります。
まず、誰でも簡単にできること。一度発言すると、その会議での発言のハードルが下がります。
次に、多くの議論はいろんな言葉で表現できた方が、参加者の理解が深まること。これはニュアンスが難しいですが、同じ言葉だけを使っていると、その言葉が一人歩きして認識がブレやすくなると思っています。なので言葉を変えて確認するだけで、議論への理解が深まります。

自分の確信度合いを添えて話す

だいたい会議で扱う議題が難しければ難しいほど、それは正解が誰も分からない類のものになります。
そうすると、自分の感覚が正しいか自信がないから発言できないときがあります。
そんなときは、「これは正しいか自信ないですけど〜」とか、「自分の中では60%ぐらいの自信で話すんですけど〜」とかを添えると良いです。
そうすれば、他の人を自分の発言にさらなる異論を言いやすいし、違ってても恥ずかしくないです。


頭の中に「メリデメ」と「抽象と具体」を思い浮かべる

議論の内容の成否を問うときに、「メリデメ」と「抽象と具体」を思い浮かべる癖をつけておくと、発言がしやすくなります。
例えば、「今期は新規顧客に初年度半額でサービス提供し、受注数を増やします。いいですか?」みたいに問われたとき。
メリデメで言うと、「受注数増えるのはたしかにいいな〜、でもデメリットとして単価が安くなるから倍の数受注しなきゃいけないってこと?また、それって契約までのリードタイムが縮まるけど将来の顧客を安く今受注するだけでは?」なんて意見が生まれます。
また、具体と抽象だと「初年度半額ってのはオープンに言うのだろうか?オープンに言うならマーケも交えて公式に発表するのか?」とか「目的が受注数を増やすなら初年度だけじゃなくて永年2割引とかの方がいいのでは?それと比較して今の案はどうなんだろう?」とかの意見が生まれます。

このようなフレームワークを持っておくと、「あなたの意見は賛成か反対か?」を問われるときに、今議論の俎上に上がってないアイデアが出てきて、考えやすくなります。

ちなみに、デメリットを考えるのに近いものとして「悪魔の代弁者」という言葉があります。これは、あえて反対意見を言うことで議論が活発になるというテクニックです。

議論は多角的な視点があった方が良い

最後に、なぜ僕が会議ではなるべくみんな発言した方がいいと思っているか、かつて聞いた某弁護士の言葉を書いておきます。

cha)弁護士が、「こいつクソだな」と思う人を弁護するときの気持ちってどういう感情なの?

弁護士)前提として、訴えた人の意見は常に片側の意見。そのため、真ん中に真実があったとして、片側からしか光が 照らされておらず、真実の輪郭がくっきりとは出ない。これを訴えられた人の意見も踏まえて両側から光を当てて議論をすることで、初めて真実を見つけることができる。そういう意味では、どんな人の弁護であろうと仕事として重要。

弁護士)「片側だけから見た物事の形が100%正しい」ということはほぼ無いと思っている。「常に言い分は50:50だ」と思っているわけでもなく、「どっちか片方が言ってることの方が信用できる(他方の言い分の方が不正確かつイチャモン的だ)」っていうケースは多いと思うけど、とにかく100:0で一方の意見だけで事案が完全に把握できることはないだろうと思っている。少なくとも相手側にしかない事情については、相手の言い分を聞かないとわからないし。常に無罪にしようと思って弁護してるわけじゃない。正しい実態把握がされて、正しい刑罰が科されるための機能を果たしてる感じ。

僕はこの「議論して真実に光を当てて輪郭を探る」というイメージがすごくしっくり来ています。裁判に限らず、全ての議論ってこれに似ていると思うんですよね。最終的にどちらかに決めるにせよ、いろんな立場の人のいろんな意見があった方が、正しさに近づけると思っています。

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