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「成果が出てから発言する」とあなたは言うが。

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僕が大事にしている仕事のやり方の一つに、「成果が出ていなくても発言する」というのがあります。
どういうことかというと。

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僕は営業組織に長年所属しているんですが、営業畑を歩んできた人って得てして上下関係がはっきりしている組織にいた人が多いので、「成果を出して発言権を認められてから意見を言う人」が多い気がします。それまでは、思うことがあってもじっと我慢。また、成果が出ていないときは自分が発言するのは良しとしない。そういうカルチャーが根付いていたりします。

イデオロギーの問題ではありますが、僕はこれは良くないなと思っています。なぜかというと、合理的に考えて成果が出ているかどうかってその発言の価値と関係ない部分が多いからです。

例えば、営業で結果が出ていない人から、「この契約書の備考欄って法的にリスクあるので変えませんか?」みたいな意見が出たとします。そのとき、この提案の価値は提案者が営業として成果が出ているかどうかは関係ないですよね。判断すべきは提案の中身が正しいかどうかです。
でも、通常任された業務で結果が出ていない人は、こういう発言も萎縮してしまうときがあります。これは組織で見たときに合理的ではないです。そのため、僕は「発言してもいいよ」というよりは「もし自分が正しいと思っていることがあるのであれば、発言するべき」ぐらいの強い気持ちでこれを思っています。一旦自分の成績のこととかは棚に上げて、そうすることが正しい組織人としてのあり方だと感じます。

一方で成果が出ていないと、より発言しにくい類の話題もあります。例えば、「資料はこれを使って毎回説明したほうがいいと思うんだけど」みたいな。提案者はそれを自分で実践して成果が出ていないので、信用できるの?みたいなのがあります。ただ、それでも僕は提案者が正しいと思うのであれば意見を言ったほうが良いと思います。なぜなら、その人が成果が出ていない要因はいろいろあって、「その資料を使うこと自体は正しいんだけど他の部分(例えば說明が下手すぎるとか)で成果が出ていない」みたいな可能性もあります。その場合、この提案自体は正しい可能性があります。

もちろん、その際に聞く側も無条件で取り入れるわけではないです。取り入れるかどうかは、提案の内容自体に加えてそれまでの提案者の成果を加味して考えるでしょう。多くの提案というのは、デジタルにジャッジできるものはなく、「これが正しい」と決めきるには決断が入ります。そのときに成功例を踏襲したいのは当然なので、提案者自体が成果を出しているほうが発言に納得感はあります。
これも当たり前の話なので、それは提案者があらかじめ受け入れる準備をしておく必要があります。

まとめると、こんな感じ。

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これもイデオロギーの話ですが、僕は成果を出している人だけが発言権を持つ組織というのは危ういなと思っています。その成果を出している人が組織の上限を決めてしまうからです。成果を出している人でも、その能力や判断にはムラがあって、組織にいろんな人がいていろんな視点で意見を言うからこそ、そのムラを埋められます。それが組織力だと思うんですね。

僕の好きな言葉に「群盲象を評す」というものがあります。いろんな人からの意見というのは群盲であり、真実を突き止める情報に必要なものです。

この話には数人の盲人(または暗闇の中の男達)が登場する。盲人達は、それぞれゾウの鼻や牙など別々の一部分だけを触り、その感想について語り合う。しかし触った部位により感想が異なり、それぞれが自分が正しいと主張して対立が深まる。しかし何らかの理由でそれが同じ物の別の部分であると気づき、対立が解消する、というもの。

Wikipedia「群盲象を評す」

また、単純にそういう組織のほうがイケてるなと、僕は思うのです。

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ここまで提案者の話ばかり書きましたが、組織側からみたときに、これを実現するのに 3 つの要素が必要です。

1 つ目は、提案を歓迎する文化であること。心理的安全性ってやつですね。言わずもがなです。

2 つ目は、誰が意思決定するかを決めることです。例えば上述の契約書を変える話であれば、それは営業チーム全体の話なのでマネージャーとかが取り入れるかどうかを決めるだろうし、資料の話であればそれを聞いた他の営業が取り入れるかどうかを自分で決めたら良いと思います。

3 つ目は、上記の2つを守る意識を誰もが持つことです。提案をたくさんしても受け入れられないときに、その人は「提案しろって言ったのに受け入れられない!」と憤るかもしれません。しかし、取り入れられるかどうかは別の人が判断して、その意思決定を尊重する意識が必要です。
逆に、提案を受け入れる側もたとえ取り入れないとしても「言ってくれてありがとう」の精神を持つことが大切です。

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