⭐️嵐を呼ぶ女 859
私は嵐を呼ばない。
「てるてるちゃんが守ってくれている」という噂があるけれど、実はてるてるちゃんと出会うずっと以前から。
礼文島では100%雨予報だったのに、100%降らないトレッキングを楽しんだ。
高校生のときに行った六甲山のロックフェスは、終わった途端に土砂降りになった。
初めての一人旅(八重山諸島)は、前日までの台風が嘘のようだった。
「1週間に10日降る」と言われている雨期の屋久島では、移動中には降っていても降車したら止んでいた。
他にも降られなかったエピソードは沢山ある。
晴れ女ではないと思うけれど、荒天で予定が台無しになったことはない。
今までのところは。
ヘッダー画像は、由美(仮名、長女)、3人きょうだいの長子。
由美の写真は、今までに3回ヘッダーに使っている。
そのうちの1回はこちら。
一緒に写っているのは亡愛犬、ウエストハイランドホワイトテリア(長っ‼︎)のミル。
由美は小柄な私より更に小柄。
姿勢が良くてスタイルが良い。
見かけはとても可愛らしい。
でも由美は、嵐を呼ぶ。
ピンポイントで雨を呼ぶ。
しょっちゅう、ずぶ濡れになって仕事から帰って来る。
「何で降るの‼︎降るっていう予報じゃなかったのに‼︎」なんてほざいてるけれど、本人にも「どうせ降られる」という自覚はあるんじゃないか?と思ってる、知らんけど。
それくらい降られてるもの。
台風10号は各地に大雨をもたらした(ている)。
当地域は当初、27(火)•28(水)辺りに影響が出る予報だったのが、台風の速度が鈍化し31(土)に変わった。
この日、妹と由美と私の3人で母に面会に行く予定だったけれど、由美は早々に「台風が直撃する日になんて行かない」と決めた。
その前日の30(金)、在宅勤務だった由美は、リビングの窓から晴れを確認した上で雨雲レーダーでも確認。
休憩時間中に所用を済ませようと出かけ、「もう、何で降るの‼︎」とずぶ濡れになって帰ってきた。
私は自宅に居たけれど、リビングからは青空が見えていた。
私からすれば「もう、(こんなに晴れているのに)何で雨に降られるの‼︎」。
凄い才能だと感心する。
私と旅行するようになり、「私が嵐を呼ばない」ことを妹も知っている。
台風情報を見ても聞いても、「31(土)母に面会」の予定を、妹も私も変えようとしなかった。
当日、天気予報のおネエさんは「雷を伴った強い雨にお気をつけください」と言っていた。
濡れてもあんまり残念じゃないインド綿のブラウスとクロップドのテーパードパンツを着用。
レインショートブーツを履き長傘持参で出発。
台風を避けたい由美は自宅でのんびり。
お花屋さんは段々と秋の装い。
季節感より可愛らしさを優先して、母にアレンジフラワーのプレゼントをお買い上げ。
紙袋の真上から。
店内でお喋りするお洒落カップルは
80代?もしかしたら90代かも?
美味しそうなのやら可愛らしいのやら
こぐまの中身はカラフルな金平糖。
妹と落ち合い、トム&ジェリーのラッピング電車でグループホームへ。
車内も可愛い。
降車して歩いているうちに、雲が切れて青空が広がってきたような……
来て欲しい訳ではないけれど、台風はいずこへ?
グループホームは内装をリノベ中。
母を写すと見窄らしい養生シートが入っていたので、お花だけ。
8/9に熱発しコロナに感染していた母。
重症化することもなく、他のご利用者や職員にうつすこともなく、後遺症もなくすっかり元気になっていた。
居室から出られないことに不満を漏らすことなく、逆に訪室してくれる職員を労っていたらしい。
感染者をケアする職員は嫌だろうなぁと想像するけれど「○○さん(母のこと)を嫌だと思ったことは1回もない」と笑顔で仰る。
何という幸せな認知症なんだ。
母も「優しくしてもらえて幸せ」だと言っていた。
どうやら、徳を積まなくても幸せになれる人種がいるらしい。
一番お気に入りの由美がいないことには気づいてないのか、妹と私に向かって「来てくれてありがとう」「会えて嬉しい」「良い娘たち」の大安売り。
母が幸せだからこそ、私達も母を放っておける。
職員さん達には感謝しかないし、認知症にだって感謝したい。
勿論、このグループホームを探し当てた自分を褒めるのは忘れない。
「食事して帰りなさい」と母が言うので、いつもの鰻屋さんでいつもの鹿児島産鰻をいつもの関西焼きでいただく。
まぁね、母が言ってくれなくても行くんだけどさ。
修(仮名、長男)には大盛り鰻弁当のお土産。
空は夕焼け、風はそよ風。
台風はいずこへ?
河岸を変える。
勿論チートデイ。
ガーン、ケーキがない‼︎
いや1個だけあるけど、それ舌触りがもう一つなんだよね。
仕方なくブラウニーとクッキーをシェア。
フラペチーノはパイナップル。
私の指はこんなに長くない。
雨に降られることも風に煽られることもないまま妹と別れる。
長傘は日傘代わりに使ったけど、ショートとはいえレインブーツは要らなかった。
バスを2本乗り継ぐ。
出たばかりなのかな?
誰もいない停留所は心細い。
向こうに見えるバッグと傘は私の。
バスが来たときには、椅子に座り切れない人が立って行列していた。
22時前に帰宅。
修に大盛り鰻弁当を渡し「ああ、そうだ、今日期限の楽譜があったんだ」と思い出す。
図書館に向けて黒耳号(人力ママちゃり)をこぐ。
耳には秋の虫の声、頬には爽やかな風、頭の上には星が出ていた。
天気図を観る。
10号は未だ台風のまま。
結局、一滴の雨にも降られないまま。
由美、自発的に留守番してくれてありがとう。
嵐を呼ぶ由美。
嵐を呼ばない私。
由美は意識してないかもしれないけれど、お陰で台風には掠りもしなかったよ。
そしてね、君は予報に関係なく、雨傘を持ち歩くべきだと思うよ。
他の地域にも台風の影響が出ませんように。
被害に遭われた方々に早く日常が戻りますように。
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