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🤱あなたの為を思って【キレイになりたい】 869

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【キレイになりたい】

幼い頃から中学まではガリガリに痩せていた。
小学2年生くらいから中学生の間は、あまり背が伸びなかった。
小学5年生のプールの時間に外反拇趾だと気づいた。
高校のクラスメイトと並んで写真を撮ったら、O脚だった。

今はガリガリではないけれど決して太ってはいないので、そういう体質なのだろう。
小学校卒業時に140cmに満たなかった身長が、低いながらも155cmあるということは、いつの間にか伸びたのだろう。
小5での外反拇趾は、親が選んで買っていた靴の影響だと思う、知らんけど。
「真っ直ぐ(の脚)に産んだ」と言う母は、膝が変形しているし私より遥かに酷いO脚なので、遺伝でほぼ間違いないだろう。

中学•高校ともなれば、自分の見かけが気になるもの。
今まで「当たり前」だと思い込んでいた顔や体を、友人と比べてしまうそんなお年頃。

プツプツと顔に何かができていた。
それは紅く痒く、時に化膿した。
年齢的にニキビだと思い込んでいた。
不潔だからできるのだと思い、1日に何度も洗顔した。
脂性肌なのかと思い洗浄力の強い洗顔料を使ってみた。
目立たないように髪で隠してみた。

全部ダメなやつ。
洗いすぎて常在菌までやっつけたら、お肌のバリアが弱るでしょう。
強い洗顔料で皮脂を取りすぎたら、却って皮脂が分泌されるでしょう。
髪が当たったら刺激になるでしょう。

年頃の娘の顔に出来物ができて悩んでいても、母親って気にならないものなのかしら?
私なら何とかしてやりたいと思うけど。

母は皮膚科でも薬局でもなく、会場(母が入信していた宗教の通称)の古株であるM井さんに相談した。

会場では、「皮膚トラブルは人と肌が合わないのが原因」と教えられている。
M井さんは母に「お嬢さん(私)は人と合わせにくい性質を遺伝的に持っている。人に合わせることができるようになると、肌はひとりでにキレイになる」「実際に見違えるようにキレイになった人がいる」と助言した。

母は私に「人に合わせられないから」「親の言うことをきかないから」「口ごたえをするから」「洗っても仕方ない」「何を塗っても治る訳がない」「会場に行って遺伝を変えないと」と折に触れて言うようになった。
言われる度に益々、母の言うことを聞きたくなくなっていくのには、どうすれば良かったのだろう?

次第に顔だけではなく手指、そして全身へと痒みのある発疹は広がった。
夜中に起きた妹が「部屋を覗いたら、布団の中から腕がニョキっと出てきて、バリバリと音がするくらい掻きむしっていた」と驚いていた。

幸いなことに学校では余り気づかれていなかったし、仲間外れにも虐めにも遭ったことはない。
調理実習ではこんな手で触ったものを誰も食べたくないだろうからと、ずっと洗い物ばかりしていた。

この頃の私は「肌さえキレイになれば何も要らない」と思うくらい、痒みと見かけに悩んでいた。
同時に「一生治る訳がない」とも思っていて、楽しいことがあっても心の底には澱のようにその想いが沈み溜まっていた。

母が思うほど、私は人と合わせにくいの?
人と違う意見を言うのはいけないことなの?
人の言いなりになるのが素晴らしいことなの?
好きなことを好きなように発言していても、肌がキレイな人がいるのはどうしてなの?

今、私の顔に発疹はない。
残念ながら間違ったケアにより開いた毛穴は残ってしまったけれど。
手も腫れてないし、全身を掻きむしることもない。
後年、発疹が軽減し始めると「もしかしたら母から離れてストレスが減ったから治ってきたのかな?」と考えついた。

その後、大人になってから、完治を目指し診断がつくまで皮膚科を渡り歩いたことがある。
接触生皮膚炎、紫外線過敏症、脂漏性湿疹、食物アレルギー、化粧品アレルギー……
結局どれが正しいのか判らなかった。
消えてなくなったからどうでもいい。
対処法は「刺激しない」と「保湿する」、痒みを我慢できないときは抗アレルギー薬を服用する。
実にシンプルだった。

もし母が入信していなければ、母は娘の醜い顔を可哀想だと思っただろうか?
自分のことのように心を傷めただろうか?
年頃の娘の心中を想像することがあっただろうか?
何とか治してやりたいと思ってくれただろうか?

今は、小中生の子どもに整形手術を受けさせる親がいるらしい。
それはそれで、子どもを否定することにならないのか?と別の心配があるのだけれど。







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