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子供と引っ越しー移行期と向き合う

柄にもなく、海外での子育てについて思うことを書き始めたところ、意外と3年間の母親業の中で色々考えてきたのだなあと自分を讃えたくなった。

せっかくなので、調子にのってもう一記事だけ。


異動族の我々は、とにかく引っ越しが多い。拠点を構えたかと思ったら、また引っ越し。その繰り返し。
今回のエクアドルへの引っ越しで、たろうは3歳にしてすでに、3カ国目、4つ目の家に住むことになるし、じろうは1.5歳にして、3カ国目、3つ目の家となる。
引っ越しだけではない。家族が日本と米国にいるので、長期休暇を利用しては、数ヶ月単位で日本や米国(ミシガン)に滞在することもよくある。
もはや私たちの家はどこなのか。「どこから来たの?」の質問に対する回答は長くなりがちである。


子供が2歳になる頃までは、正直なところ環境への身体的な適応のことや、飛行機での長時間移動のことばかりを考えていた。時差への適応はどのくらいかかるのか。お昼寝の時間はいつまで狂うのか。気候の差で体調を崩さないだろうか。飛行機の中では静かにしてくれるだろうか。
そんなところだろうか。
国際線の飛行機は、2歳までは膝の上に乗せることできるけれども、言ってみれば大人と一緒に移動してくれる「荷物」。
けれども、今回は3歳になっていたたろう。単純に持ち運びできる可愛い荷物などではなくなってしまった。
引っ越しが与える、たろうへの精神的な影響について、考えさせられることになった。


ちょうどエクアドルに来てから1ヶ月ほどが過ぎたけれど、過ぎてみれば思っていた以上にとてもスムーズな移行となった。(家族みんなでノロウイルスに感染して、悲惨だった1週間を除き。苦笑)

移行期について、私たち夫婦はまるで正反対な意見を持っている。
私は、引っ越しの準備を含め、徐々に時間をかけ、丁寧に見通しを持ちたいタイプ。
だんなは、何事も深く考え過ぎず、いつだって楽観的。変化の大小に関わらず、多少の負荷を与えてでも一瞬で終わらせたいタイプ。
もし私がまだ独身で、単独で海外に引っ越しをするならわからなくもない。若かりし頃はそうだった。
前日にスーツケースに入るだけの荷物を詰めて、さあ行こう。それでよかった。
でも今や4人家族だよ!というのが私の言い分。私たちには責任を持って引き連れて行かなくてはならない幼児が2人もいるではないか。


ただ今回は、バージニアでのワンオペに疲れていたこともあって、(私の母親としてのキャパは、お察しの通りだいぶ小さめ)色々と言い返すのも面倒くさく、また論理武装する時間もなく、なんとなくだんなのやり方に乗っかってしまった。
というわけで、同業の友人たちから「引っ越しの準備はどう?」とたびたび聞かれるも、結局引っ越し前夜まで何をすることもなく、当日だけはどっぷりと疲れて、一応無事に終わった。

計画性がないからこうなる。

ただ、荷解きについては、夫婦団結で子供が泣き喚こうが一瞬で終わらせることにしている。心の中では、私だって1日でも早く新しい生活に慣れて落ち着きたい。


物理的な移動については、これだけの引っ越しを繰り返すと要領を得るのだが、本題は、たろうに引っ越しをどのように伝えるのかということ。
デイケアでも、周りをぐいぐい引っ張っていくようなタイプのたろう。本当に素敵な友達に恵まれた。こんなに仲良くなった友達みんなとのお別れをどう伝えたらいいのだろうか。
しかも、私たちがこの問いに答えを出す前に、引っ越しを知っているクラスのお母さんたちから、「たろうくんがいなくなることを伝えたら、うちの〇〇すごく寂しがっていて…。」なーんて話をされてしまうように。
ま、待ってくれ。まだ1ヶ月も前!
エクアドルへの引っ越しはクリスマス直後。確かに、アメリカ人の感覚的にはサンクスギビングになれば、年越しまで一直線か。なんて笑ってはいられない。

たろうくん、そんな話されても、はてなんのこっちゃ?という話。
そこでなんとなしに、だんなから、「エクアドルというところに引っ越すんだよ」ということを伝え始めることに。「ちっちゃい時、カーボベルデのお家に住んでいて、よくビーチに行っていたでしょ?」という前置きと共に。

けれども、今回はあえて、エクアドルに行くことが友達とのお別れを意味することには直前まで触れず。あくまでも、引っ越しという事実を伝えることに徹した。

振り返ってみると、面倒くささを理由にしていたけれども、正直私には最後まで正解がわからなくて、今回はだんなに任務を押し付けた形に。
けれどもだんなは、「今この瞬間を楽しんで大切にしてほしい」という強い信念を持って、真正面からたろうと向き合っていたように思う。

デイケアの最終日も、みんなにたくさんのハグをしてもらい、自分だけどうして特別な扱いを受けているのかいまいちわかっていないようではあったけれど、笑顔たくさんで最後のさようならが言えてよかったのかな。

クリスマス休暇を挟んでの引っ越しとなり、また恒例のだんなの実家ミシガンに帰省をしたことも、緩衝材になったのかもしれない。クリスマスはみんなでミシガンで過ごして、その足でエクアドルに。


そして、到着早々、新しいデイケアに。下見ができず少しギャンブルではあったけれども、引っ越し前に全ての手続きを済ませておき、3日目にしてすぐに突撃。
今回は、一瞬で新しい生活に飛び込むスタイルを採用したので…。

ありがたいことに、バージニアからミシガン、そしてエクアドルと、時差は全く無い移動だったけれども、思いがけず最初の数日は酸素の薄さにやられた大人たち。エクアドルの首都キトの標高は2850m。長野出身だから大丈夫だろうと踏んでいたけれど、そうは言ってもせいぜい700mあたりの出身。きつかった。
さらには、言語も全く異なる新しい土地にいきなり放り込まれた子供たち。流石に強引過ぎないかとは思ったけれども、子供たちの適応力は本当にすごい。すぐに走り回っている。

とにかく元気なたろうと、強いファッションへのこだわりを持ち始めたじろう。


バージニアでのデイケアがあまりにも気に入り過ぎたので、新しいデイケアも同様に、"nature play based learing"を採用しているデイケアを探し、また三箇条(2)に基づき、あえてローカルの子供達が利用している完全スペイン語のデイケアを選んだ。
私のトラウマもやっと消え、先生たち「プロ」への絶対なる信頼がある今、たろうは迷うことなしにいきなり平日5日クラスに(午前中だけ)。
このデイケアの方針で、最初の1週間は親が一緒に来てくださいとのこと。慣らし保育については、徐々に慣らすやり方と、初日からいきなり飛び込むやり方と、未だどちらが良いかについては議論が分かれているよう。
今回は、すでに出来上がっているクラスに遅れて参加する「転校生」のような形だったため、様子も分かり、友達の顔を知る意味でも親として安心ではあったかもしれない。最初は1時間半の滞在から初めて、徐々にフルの4時間に慣らしていった。と言っても、私のスペイン語は0なので、そこにいるだけの人だったけれども。

最初こそ、怖気付いていて私の元を離れようとしなかったたろうも、数日すると母といてもあまり頼りにならないと悟ったのか、「もう帰っていいよ」と言うように。


じろうについても、週にいきなり5日は多すぎるかなと思ったものの、行かせ始めてみると、言語の壁が低いからか、たろう以上にものすごくスムーズに通い始めた。慣らし保育期間も結局たろうの方につきっきりになり、全く付き添いせず。
前回の保育園では、2歳未満クラスに所属したため、同じクラスには生後半年くらいの赤ちゃんもいたけれど、今回は1歳児クラス。8月末生まれのじろうは当然クラス最年少。そんなこともあり、当初は週3日でも十分だと思っていたのだけれど、そんなに楽しんでいるならと毎日行かせている。

動物が大好きなじろう。このデイケアには、羊やウサギやラマがいて、人間の友達よりもとにかく動物が大好きらしい。そして、担任の先生に初日からベタ惚れ。確かに、先生とても優しくて、おおらかで、可愛い。


言語については、全く0からのスタートとなった2人。この1ヶ月でたろうはすでにいくつかの単語を発するようになったし、質問もなんとなくではあるけれども理解をしているよう。(たろうはお喋りな性格もあり、発語も早かったけれど、とにかく英語での会話は達者。完全に人間。)じろうは、英語で段々と質問の意味を理解し、YesやNoが言えるようになってきたところだけれど、試しにだんなが「牛はなんて泣く?」「馬はなんて泣く?」というような質問をスペイン語でしてみたら、普通に答えた。これが生まれながらのバイリンガルというやつなのか!?

すでに、1、3歳児に置いていかれている母。今の時代、翻訳アプリも精度が相当よいので、学ぶ努力もしなければ、文明の利器に頼り過ぎており全く上達しない。情けない。


バージニアでのデイケアデビューは、デイケアがどういうところであるかということを自分たちの一番安心できる言語環境で知っておくことができたという意味でも、大成功だったように思う。「お弁当を食べてもう少し遊んだら親が迎えにくる」というルーティーンを知れていたことが、スムーズな移行期に繋がった。

とは言いながらも、大きな環境変化である。
3歳になりせっかく巧みに言葉を操ることができるようになったのに、自分が伝えたいことを伝えることができないフラストレーションは当然ある。八つ当たりもされるし、泣き喚かれることもある。
でもそれが当然。
本当に毎日よく頑張っているなあと、温かい心で見守らないといけない。

まだまだ英語が不自由だった頃の自分も思い出しながら、子供よりもスペイン語ができず恥をさらしながら、これからもそれなりに海外育児を楽しんでいきたい。












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