認知行動療法 part3
前回の記事では、ある出来事が起きた時に、それにともなって思い浮かんだ考え(認知)により、気持ち、身体反応が連動し、それによってとった行動が密接に関連し、環境と個人内で起きたことが二重に存在していることが分かりました。
基本モデルに沿って、共に観察する
この基本モデルに沿って自動思考を観察したものを、否定も肯定もせずに「現在こうした事が、自分の中で起きているのだな。」と受け止めます。
それによって、一体、何が起こるのでしょうか。
まず、自動思考を観察することで客観的な立ち位置が確保できます。
これを「自己の外在化」とも云います。
外在化=もう一人の自分が「否定も肯定もせずに」自分を見ていることなので、一歩距離を保ちつつ冷静に観察ができるようになります。
それと同時に、自己理解が高まります。
セルフモニタリングは、最初はお一人ではなかなか難しいので、カウンセラーとの共同作業でおこなっていきます。
認知行動療法における心理的情報の共有
出来事、認知(考え・イメージ)、身体反応、気分・感情、行動をシートに書き出して、カウンセラーと共に、一つの出来事からどういった事が上記に起こっているのかを自由に話し合います。
この話し合いの中で、例えば、適応障害により集中力が保てない方に対し、適応障害について、どういった病気でどういう症状が起こるのを理解できるように説明をします。
こうした心理教育は、クライエントにとって、何で自分がは人が当たり前にやっていることが出来ないのだろう?と自分を責めてしまっている事に対し、適応障害という病気の症状から、集中力が欠如し、ミスが多かったりする現在があるのだなと、クライエントが理解できるようになります。
必要以上に自分を責めることもなくなっていきます。
認知行動療法のスタートライン
記入したシートを共に眺めながら、様々なクライエントの情報を共有し、クライエントは話すことで、気持ちの整理が進みます。
出来事は変えることが出来ない事実であり、それに伴って起こる身体反応・気持ち・感情は変えることは出来ないですよね。
しかし、「認知(考え)」と「行動」は、自分の少しの工夫で受け止め方に幅を持たせたり、行動も少し自分に優しいように変化できます。
それゆえに。「認知行動療法」と呼ばれているのです。
そうなんです、認知行動療法とは、自分の「認知(考え・イメージ)」と「行動」のパターンを把握した上で、セルフケアの一つとして自分自身を改善させる為のスキルを身に着けていくものなのです。
こうしたクライエントとカウンセラーの話し合いを通し、クライエントが認知行動療法について理解をし、よし!身に着けたいな、やってみようと合意して初めて、認知行動療法はスタートラインに立つこととなります。