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ありつづける。
石垣島の空港に降り立った。
じめっとしたまとわりつくような、なんとも言えない湿度と気温を感じ、ぐっと力を入れる。
空港から車で5分もしないうちに、まだ高く伸びきる前のさとうきび畑に入った。
青・白・緑のコントラストがここまで映える景色が、他にあるだろうか。
私が初めて沖縄に足を踏み入れたのは、高校の卒業旅行。
旅行会社で販売されていたペラパンで、飛行機・ホテル・食事込みで3万円。
当時を思い出しても、今じゃ考えられないほど
時間の過ごし方や行程の組み方がへたっぴで。
でも、あれが私の原点なんじゃないかって思う。
あれから13年。
沖縄に魅了された私は、数えきれないほど足を運んだ。
同じ場所なはずなのに、あの海と星空の同じ美しさを超える景色には、まだ出会えていない。
”どこに行くかではなくて、誰と行くか”
どれだけ回数を重ねても、あのへたっぴな旅行は、最高の思い出として私の記憶に在り続けている。
おもわずスピードを出してしまいそうなくらい、まっすぐに伸びた道を、ゆっくりと運転する。
はるか遠くに1台の車が走っているだけで、ここには私しかいない。
”何も、ない。”
ふと思い立ち、運転していた車を路肩に止めて、外に降りた。
前だけを見つめて車を走らせていた私が、初めて後ろを振り返った。
”いけない”と分かっていながらも、思わず道の真ん中に立ち、そっと目を閉じる。
風の声ってなんだろう
自然の音ってなんだろう
青の美しさってなんだろう
空の広さってなんだろう
生きていくってなんだろう
私は何がしたいんだろう
これからどうすればいいんだろう
その答えをすべて教えてくれるような、優しい景色だった。
目で見るのではない、全身で感じるのだ。
陽が沈み、静かな夜を迎えても、石垣島の大地は私にそっとささやき続ける。
”継続は力なり”
単純なことで、とても難しい永遠のテーマ。
何百年、何千年とあり続けた島は、雄大で豊かな自然を持ちながらも、今を生きる人たちの心にやさしく語りかける。
そして、これからもずっと語り続けることだろう。
撮影:石垣島
撮影時期:2017年7月中旬