ともだち(貴方)
あなたのそのね、好きなものを一生懸命に話す顔とか、その時の目とかが好きなのね、
わたし。
ほんとうよ。
寺山修司とか、一生懸命話してくれるじゃない?
ほんとうに好きなんだろうなって、
こっちまですごいドキドキしてくる。
わたしたち、仲良いって思ってるよ。
ほんとうだってば。
一緒に水族館も行ったし、よくお酒も飲みに行くものね。うん、わたしは楽しいよ、別に。
別にって、うーん。だから、いや、
まあ。わたしが悪いんだよ。ごめんね。
わたし、こうやって仲良くなる方法しか知らないんだ。もっとこの人の話聞きたいなぁとか、顔見てたいなぁとか、そう思ったら、気付くといつの間にかこうなっちゃうんだ。いつからだったか、どうしてだったかは、もう覚えてない。
紅の意味を知ってしまったからかな。
わたしがおかしいだけなのかもしれないからね、巻き込んでごめんねって。でも本当にわからなくって
触れたくて、触れて
知りたくて、知って
感じてしまったから、赦してあげて。
あ、そうだ
わたしの実家の桃、今度また食べさせてあげるよ。
ぐじゅぐじゅで甘いやつね。
いいよいいよ、私、桃あんま好きじゃないんだよね。
私はシャキッとした真っ赤な林檎が好き。
貴方と会った帰りに、私近所の八百屋さん寄って買ってるの。すっごい美味しいよ。
うーんと、林檎はだめ、貴方にはあげられない。
桃ならあげられるけどね、ごめんね。
そのかわりいっぱい甘い桃、あげるから。
わたしは大丈夫。
わたしはただ、貴方の話が聞きたいの。
あなたってほんとう、素敵なともだち。