第3回だれ一人取り残さない防災研究会(ゲスト:同志社大学社会学部教授 立木茂雄さん)
こんにちは。チャレコミ防災チームです。
2022年7月19日(火)に「だれ一人取り残さない防災・災害支援研究会」の第3回を開催しました。
前回に引き続き、今回もゲストをお迎えして皆さんと意見交換を実施しました。
今回のゲストは幹事メンバーでもある科学技術振興機構(JST)の皆様からご紹介いただき、同志社大学社会学部教授でいらっしゃる立木茂雄先生にご登壇いただきました。
立木先生は大分県別府市をフィールドに「福祉専門職と共に進める「誰一人取り残さない防災」の全国展開のための基盤技術の開発」という研究をされていらっしゃり、今回はその取り組みについてお話しいただきました。
災害時に障がいのある人も高齢者も取り残さないために
今回、立木先生にお話しいただいたのは主に以下の2つのポイントです。
災害時には、障がいのある人や恒例の人に被害が集中しているというデータがあります。立木先生はこの根本原因は平時と災害時の取り組みが分断されており、そのためには福祉と防災を切れ目なく連結することが必須であるとお考えでした。
そのため、大分県別府市で福祉サービスの利用計画を作成する際に、災害が発生した時のケアプランを作るというものでした。
通常、防災と福祉は別の部署が担当しており、日常的に会話することはほとんどありません。
そのため、別府市では役割を超えて一人の人をサポートしていくために「越境」していく必要がありました。そのキーパーソンとなったのが防災推進専門員の村野さん。様々な関係者のもとに足を運び、ステークホルダーとの話し合いを進めていったそうです。
また、別府市での取り組みを全国に展開していくために、立木先生が、5年間かけて村野さんの活動をずっと追いかけて具体的にどのような業務を行っているのか、業務分析を踏まえて、どのくらい「越境」し、どのくらい「境界連結」につながったのか?
道しるべになる指標を7つ設定し、ブックレットにもまとめられています。
連携は放っておいても前に進むものではない
ここまで落とし込まれていれば、すでに広く展開されているのかと思いきや、実際に災害時ケアプランの策定に動いている自治体はごく少数にとどまっているそう。
印象的だったのは、災害時ケアプランの作成に必要不可欠な「越境」という言葉に対するイメージの違い。
行政など多くの人が越境と言われてイメージするのは【野球の守備】のように「自分の守備範囲を守って、次の人の守備範囲に投げる(渡す)」こと
一方で、立木先生のだれ一人取り残さない防災に必要なのは【ラグビーのスクラム】のように「場合によってはポジションの枠を超えて全員で一体になってゴールに向かっていくこと」これは放っておいて自然に生まれるものではありません。
しかし、関与する様々な組織を越境し、連結することで、一人では救えない人たちの命を救うことができます。
そのために、多様な人たちが自分の枠を超えていくことが必要になる、それは企業のダイバーシティーマネジメントにも通じるものがあるのではないか。という言葉が印象に残っています。
私たちも研究会も大企業・ベンチャー・地域のNPO・行政など様々な方が参加してくださっているからこそ生まれる越境経験を生み出していきたいと思っています。
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「だれ一人取り残さない」防災研究会とは…
①災害が起こったときには日常からのつながりが重要になる。そのために、日常から学びあい、つながりをつくること。
②研究会に参加するそれぞれの主体が自分たちの防災・災害支援に対しての実験を相談したり実際にやってみたりする機会にすること。
を目的に毎月第3月曜日(祝日の場合は翌日)に研究会を開催しています。ご関心のある方は以下のフォームからお問合せください。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdBa7sljKtAXvjGJp9VvAgICc9rc2E1iC6JGmUZiWTNoRIUjg/viewform
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