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前回は鹿児島と東京の2拠点生活を書いた昔のエッセイを紹介しました。
今回は2019年と2020年の二度にわたる鹿児島とセブの2拠点生活について考察します。


自分の仕事をつくる30代

憧れの東京から鹿児島に移住したのが2008年。好きな仕事も辞めて鹿児島で新たな人生をスタートしました。
2年の我慢と思っていたら案外なじんでしまって気がつけば鹿児島県人に。
2016年に夫の転勤辞令が出た時は、憧れの東京に一緒に戻るのではなく、ひとり鹿児島に残って別居する道を選びました。
当時の私はその時の想いをこのように綴っています。

「どこに行ってもできる自分の仕事をつくりたい」
それは働き方に対する提言であり、今後また直面するかもしれないキャリア分断に対する私なりの防衛手段でもある。
いつ何があっても自分の力で生きていけるように手に職をつけること、そして選択肢を持っておくことは人生のプラスになるはずだ。

振り返ると、30代はこのために費やされたといっても過言ではありません。
鹿児島でゼロスタートを切った私は学びに貪欲で、自己成長のためなら何でもやりました。痛いほどに。
犠牲にしたものも少なくないけれど、後悔はありません。
別居生活でできた自分の時間が新しい仕事を生み、心行くまで活動ができたことが自信になりました。
 
その経験があり2019年の単身セブ行きも前向きに決断できたわけですが、正直なところ「40歳になろうとする既婚女性が海外インターンシップってどういうこと?」と、普通なら物議を醸しそうな道を選択するには少し勇気が必要でした。
なんせ夫の両親への説明が一番ドキドキ。笑
   
決断のために精神的には勇気が必要だったのと、物理的にはかなりの身辺整理をしました。
当時はまだオンラインで仕事を続ける方法が分からなかったし、インターン先の仕事にエネルギーを注ぎたいという気持ちもあったからです。
唯一、朝活配信だけは続けていて、苦しい場面でたくさんの友人に救われました。


二度めの単身セブの意味

2020年に二度めの単身セブ行きを決めた時は、一度めとは少し違う心境で、「海外で暮らしてみる」「英語をマスターする」という目的から「海外で暮らすための仕事をつくる」「セブのビジネス事情をリサーチする」という目的へと変わっていました。

一度めは学校の寮で三食つき、洗濯もしてくれる、(ただし相部屋)という環境で、「海外で暮らす」という点で言えば、暮らしてはいるけれど自立している実感はまったくありませんでした。

二度めはコンドミニアムでの一人暮らし。食事も洗濯も自分でやりますので、よりリアルに海外生活を味わえる日々でした。
とは言え、2月3月の繁忙期は仕事に追われてプライベートを満喫する余裕もなく、部屋でYouTubeを観るので精一杯。そうしているうちに刻一刻と変わりゆく状況に対応する生活へ。

事態が悪化する中で「あなたは帰国しないの?」と聞かれるたびに「帰りません!」と答えていました。それは意地というわけではなく、5月末の契約満了まではいると決めていたので3月の時点でいま帰ってもしょうがないと思ったからです。家族とも話し合いましたが、同じ結論でした。
あとは純粋な好奇心。
こんな状況に立ち会える機会はこの先ないかもしれないと思うと、まるで歴史の1ページを体験するようで、不謹慎と言われるかもしれませんが「帰るなんてもったいない!」という思いがありました。


制限があるから生まれるアイデアがある

4月は初めてのリモートワーク生活にワクワクしていました。
日本でもオンライン化が進んでいったこともプラスに働き、空いた時間で日本との仕事も再開できたり、新しい企画が生まれたりといったチャンスに恵まれました。

本来なら「海外」「ひとり暮らし」「ロックダウン」という状況下で精神を病んでもしょうがない状態ですが(実際にそういう同僚もいました)、私は「この状況で何ができるか?」「今ここにいる意味を最大に生かすにはどうすれば?」と問いを立てて過ごすことを選んだのです。
その結果、自分なりの「新しい生活様式」に適応していくことができ、世界が大きく拡がっていくのを感じました。

例えばスポーツで言うと「ルール」があるから成り立つわけです。何でもあり!では面白みが半減するでしょう。制限の中で工夫をして挑戦をしていく、そのプロセスや結果がモチベーションになったり、人の心を打つのです。
 
他にも、例えば友人とご飯に行くとして、「何を食べたい?」と尋ねて「何でもいいよ」と言われたら選択肢が多すぎてお店選びの難易度が上がりますよね。
逆に「イタリアンがいいな」と言われたらある程度の絞り込みができますが、それはそれで「イタリアン」という枠の中で最大限に情報収集をしてお店を選ぶでしょう。

「自由」からもアイデアが生まれるし、逆に「制限」からもアイデアが生まれるということ。

「自由」も楽しめるし「制限」も楽しめる。
これは私の強みです。逆境に強いとも言えそうですね。

制限の中で手にしたたくさんの智慧。続きは後編で。



※ちなみに1か月前はこんなことを書いていました。
#02 ゆたかさって何だろう~思い通りにならない人生の中にある幸せ

ほんと、思い通りにはならないものだな。


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矢野けいか|着火ウーマン|書籍『場づくり仕事術』著者|キャリコン|コーチ|人事戦略パートナー
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