そんなに気負いすぎないことよ
久々に胃をやられてしまった。寝ても覚めても胃痛が続き、慌てて胃腸科に駆け込むと「血液検査で見る限り異常はありませんね。仕事のストレスでは?」「ここ数年、夏になると受診されていますよね。なにか時期的なものでしょう」と一蹴されてしまった。せめて触診をするとか胃カメラの打診を受けるとかしたかったのに。うーん、とかぶりを振りながら帰路につく。
だって。最近はすごく順調だったのだ。食事も三食摂るようになったし(以前は朝食を抜いていた)、毎晩湯船に浸かって7、8時間は寝るし。仕事で忙しい日はあるけど、仕事内容も嫌いじゃなければ職場の人間関係も良好。少し前に仕事でミスをやらかしたこともあったが、抱え込みすぎることなく対処できた。週末もそれなりにリフレッシュできている。
だから、ストレスが原因のわけがなかった。
翌日はあまりの胃の痛みに脂汗をかきながら、一か月前から予約していたメンタルクリニックに行った。「具合悪そうね、大丈夫…?」とカウンセラーさんを動揺させつつ「とりあえず聞いてください」と胃腸科での出来事を若干の恨みを込めて話す。
仕事のストレスを受けている自覚はないこと、規則正しい生活も楽しいしチートデーも設けていること。だからストレスが原因と言われても思い当たる節はなく、無理やりストレスを捻り出そうとする方がストレスになることなどをひと通り聞いてもらった。
そこで話しながらひとつの仮説に辿り着く。「胃腸科では夏になると受診してるねって言われたのだけど、毎年この時期は休職に追いやられていた時期かもしれません…。ここ数年は少し体調を崩すとメンタルも落ちてしまってクリニックの先生から休職を勧められていたけれど、今年は胃痛があってもメンブレには至っていないので、この程度でバランスを取ろうとしているのかも…」思い付いたままにこう伝えると、カウンセラーさんは「そうねぇ、その考えが一番説明がつくかもしれないわね」とふんわり微笑んでくださった。
「それとやっぱ、私って生真面目すぎるんですよね…?」と聞いてみたら「それは間違いなくそうよー!」と力を込めて全肯定されたのだった。気づいたら話し終わる頃には脂汗は引いていて、心も軽くなっていた。
クリニックを出るタイミングで、✕(Twitter)でフォローしている方の投稿が目に入った。最近は「ここで踏ん張らなきゃ」と思う日が重なっていたのかもしれない。胃痛という形で上からストップがかかったのかな。思わずふうっと息を吐く。
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昨日の朝起きてからも胃の痛みは続いていた。「頑張れば半日くらいは出勤できるかもしれない」と逡巡したものの先日のカウンセラーさんとのやり取りを思い出し、思い切って一日休むことにした。今の私がすべきことは自己愛を満たすこと。来週からまた調子よく働けるように整えること。痛みに顔を歪ませながら無理やり出勤するのはちょっと違うな、と割り切った。
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半日ベッドで過ごしたのち、胃をさすりながら家の中でノロノロと行動を開始する。もしかすると、悪い流れが溜まってるのかもしれなかった。最近お掃除を頑張れてなかったから悪い気を引き寄せたのかも。気になったら居ても立っても居られなくなって、玄関にキッチン、トイレ、お風呂場の掃除を始めた。掃除後には買っておいたホワイトセージの葉を焚いて塩風呂に入った。「病人はじっとしてなさい」と言われてしまうのだろうけど「やれるだけのことはやった」と思いたかったのだ。これもまた生真面目すぎる所以なのだろうな、と一人で呆れるが性分は致し方ない。
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今朝も痛みはそのままそこにあった。朝ごはんを食べて、処方された胃薬を服用する。メンタルクリニックの先生から「安定剤の量を増やしてもいいかも」と言われたので、頓服で飲んでいた薬を毎食後飲むことにした。せっかく減薬できてたのになぁ、という思いが頭をよぎるが、今は胃痛を取り去ることが優先。
今日は掃除を続けたいけど、動きすぎもよくないのだろうか。ネット疲れしてきたのでクラシックを聴きながら小説を読むのでもいいかも。なんにせよ、気負いすぎないこと。心の向くままに軽やかに過ごすこと。私もあなたもご自愛しましょ。