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漢方の肥満対策① 薄着の夏に備える季節です
夏に向けて、
心と体の準備をしたい気候になりました。
でも本格的に夏になる前に
湿気の多い、梅雨の季節があります。気持ちよく真夏を楽しめるように、今は湿気で水太りにならないよう、取り組みましょう。
漢方で考える肥満
肥満の原因は「痰湿」というのが漢方の考えです。
痰がらみの痰と、湿気の湿・・・イメージつきますでしょうか。湿よりもねばり、脂っけのある物質・・・
この痰湿が長期にわたって体内に停滞し、筋肉や皮下に蓄積することで、肥満になると考えます。
脾・肺・腎の機能低下が肥満を招く
五臓の中でも、脾、肺、腎は水分代謝にかかわります。
これらの機能が低下することで痰湿がたまりやすくなります。
『脾』は主に消化機能を担当しますが、働きがわるくなると、代謝が下がりますから、食べたものがそのまま栄養にならずにとどまったり、皮下脂肪が増えやすくなります。
『肺』の働きが落ちることで、水分を体内にめぐらせたり、皮膚や呼吸を通して体外に排出する量が減ります。
『腎』は脾、肺と一緒に体内の正常な水分バランスを維持しているので、この働きが落ちることで、水が外に排出されないで、停滞してむくみを引き起こすのです。
基本的に、肥満は、運動量に対して食べ過ぎが原因ですが、
このように脾、肺、腎 の働きが正常なのかどうかで、同じ量を食べていても太らない人、太る人の違いも出てきます。
肥満にもタイプがあります。
これを漢方薬別に考えると肥満の原因をひもとくこともできます。
タイプ別に
タイプ①下半身が太りやすい、みくみやすい、疲れやすい、重だるい
このタイプの人は この梅雨の季節はとくに、注意してください。
湿気によって脾の機能が落ちて、消化能力が落ちて食べたものが、栄養にまわらずに体に蓄積してしまいます。
その他に脾の消化吸収能力を落とす原因は
飲食の不摂生や過労です。このことで脾をいじめてしまっていまい、脾が弱くなったために、『気』ができないことによる生理作用が低くなります。
このような人は、
心掛けて、湿をからだから除くこと
脾を元気にする生活習慣をすること
が太らないためにも大切です。
漢方薬でこのようなタイプの人には
・防已黄耆湯
・当帰芍薬散
の漢方薬が肥満対策にも通じます。
・防已黄耆湯 というのは
防已、黄耆、白朮、甘草、生姜、大棗 が入っていて
どちらかというと筋肉にしまりがない、いわゆる水太りの人に合っている漢方薬です。
肥満に伴う、関節の腫れや痛み、むくみ、汗をかきすぎて疲れやすくなっているとなどを改善するために、対策する漢方薬と考えてください。
(脾気虚による肥満)黄耆と防已の組み合わせが特徴的。
黄耆という生薬が「気」を補うのですが、、しっかりと毛穴をしめてさがったバリア機能、を上げてくれてなおかつ
余分な水分を尿から出すのを促してくれる。毛穴を正常にすることで、汗のかきすぎてエネルギーをもらさないことにもなります。
黄耆と防已を合わせることで、水を体から出す働きを強めてくれるのです。
・当帰芍薬散も
防已黄耆湯と同じように、脾が弱く、水太りになる人用の漢方薬なのですが、血が滞っている不調も解消してくれます。 当帰、芍薬、川きゅう、白朮、茯苓、沢瀉 が入っていて、血をめぐらせ、補い、水を排出する処方で、婦人科で、第一選択薬として使われ、妊活中の方にも効能があるものです。
肥満だけでなく、めまい立ちくらみ、頭痛、肩こり、慢性疲労も解消してくれます。
防已黄耆湯は 気虚、水滞 改善の分類ですが
当帰芍薬散は 血虚、お血、水滞 です。
次に
タイプ②体重の増減が激しいストレスでの暴飲暴食
胸・腹部の膨満感のタイプの肥満
思い悩むことがあり、気が滞ることによる、ストレス性の暴飲暴食による肥満なので肥満解消のために、気の巡りをよくする漢方薬が 有効です。
加味逍遙散、大柴胡湯
という漢方薬が代表的です。
・加味逍遙散は
気の巡らないことによる不調、血が滞ることによる不調、血が足りないことによる不調(気滞、お血、血虚) を改善する漢方薬で
精神不安やいらだちの精神神経症状で、肩こり、疲れやすい、便秘などの症状を解消する漢方薬です。
このようにストレスをかかえていることが肥満につながることもあります。
柴胡、当帰、芍薬、茯苓、白朮、甘草、生姜、薄荷、牡丹皮、山梔子
が入っていますが、更年期障害や不眠症にも効能があります。
大柴胡湯は
気の滞り(気滞)を改善する漢方薬で
柴胡、黄ごん、芍薬、半夏、枳実、大黄、大棗、生姜
という生薬が入っています。
便秘が長く続いていて、高血圧、肥満に伴う肩こり、頭痛、神経症、を伴う肥満も改善します。
肥満はただの見た目の問題ではなく、肥満が体を不調にさせていきます。肥満をもたらす代謝異常は、病気の元ですので、どうか対策をされていただきたいですね。 食べると太るから、栄養を摂らないというのも病気の元をつくります。
肥満タイプはまだあります。
③、④の肥満タイプはまた次回お話しにしますね。
ポッドキャストでもお話ししていますので、是非聴いてくださいね。
織田 縁 東京都杉並区で日本のハーブブレンド『チャカラティーズ』・漢方薬・健康食品の販売会社㈱ワイズ・ドット・ファーム代表。登録販売者。上級漢方養生指導士。
お問い合わせhttp://ysdotfirm.co.jp