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芸術祭を巡るただの旅人だったわたしが瀬戸内の島でお盆を過ごすまでの、春に出会った優しさと夏に過ごした島時間

わたしは暑い暑い今年のお盆の一週間ちょっとを、アートの島で知られる瀬戸内は豊島で過ごしています。

ゲストハウスを経営されている女性の元でお世話になって、掃除のお手伝いをしながら豊かな自然とのんびり流れる時間を満喫している夏。そんな日々も今日が最終日!

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そもそもわたしは東京生まれの東京育ち。
瀬戸内には縁もなく、建築とアートに興味のあるひとりの旅人でした。
そんな私が、こんなご縁がもてているのは、偶然に偶然が重なった素敵な出来事がくれた出会いがあったからです。


先日のGW、前々からずっと行きたかった建築とアートで知られる島、直島・豊島・小豆島へ、芸術祭に乗じて行ってまいりました。

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今年のGWは10連休!でしたよね、そういえば。(もはや懐かしい)
ということで、思い立ってひとり旅を決意しました。が、大型連休数日前に計画を始めたわたしなんかがとれる宿泊先があるわけもなく、ネットカフェ頼り、移動手段もその場しのぎの弾丸旅でした。

夜行バスで到着した岡山から初日は直島へ向かいました。海が近くて「ああ、島に来た、、!」なんて感動してるところに、オブジェ、オブジェ、美術館、オブジェ、かぼちゃ!!広くて青い空と美しい自然に共存してるアートの数々に感動が順番に押し寄せてきました。

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帰りのフェリーは満員で、これは島から出れないのか?!と初日からヒヤヒヤしつつも、臨時便のおかげで無事に高松に到着!
(それにしてもすごい人数が小さな島に載っていたものだ)

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旅程は思いのほかスムーズにすすみました。

が、ここにきて最初の関門が。
事前予約システムのないネットカフェ、、
初上陸の香川県で美味しくうどんをいただいたのも束の間、案の定、ネカフェに着いた時には何人も待機中で、いつ席が空くかわからない状態。
ヒヤヒヤしながら2時間くらい待っていたら、リクライニング席が空いたようでなんとか一日目を屋内で終えることができました。
でも、夜行バスから連日のリクライニング睡眠ではさすがに背中に違和感が残る、、 

2日目は小豆島へ。
ここでどうしてもみたい景色がありました。 

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中山の千枚田。棚田の景観です。
1時間くらい山登りをしてこの絶景をカメラにおさめて満足した後、さて次はどこへ行こう。

ここで二つ目の関門が。
その日は小豆島の伝統芸能祭が開催される日だったので島は大混雑。来るバス来るバス満員で乗ることができず、次のバスまで1時間、、

よし、小豆島はきっと友達とか彼氏と車で回るのが合う島だから、ここは諦めて明日の予定を前倒しにしよう。早めに本島に帰ってスパでも行って休めばいいし。
この決断が運命の分かれ道でした。


そしてやってきたのが豊島。

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レモン🍋オリーブ🍃通りすがる島のおじいちゃんおばあちゃんが挨拶してくれながら昔ながらの古民家建ち並ぶ道を歩く。田んぼ越しに見る海と山。そこには日本の原風景がありました。 

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人混みに疲れていたわたしは、豊島を歩くたびに感じる自然と農業と人の暮らしの近さからくるのどかな空気感に魅了されながら、アート作品をまわりはじめました。 

そしてとある作品の会場で。
スタッフの方と近所の農家の方がたまたま歓談しているところに参加させてもらい、とれたてのいちごスムージーをごちそうになりながら豊島のお話や、わたしがこの旅中に巡った島のことや私が宿をとらずに弾丸で回っていることなどをお話ししていました。
その場を後にして次の作品に向かって歩いているときです。背後から大きな声が聞こえました。

「おねえさ〜〜ん!!」

振り返ると、さっきのスタッフさんたちが私のことを呼びながら追いかけてきていたのです。
「おねえさん〜〜〜ん!!今日泊まれそうな民泊があるかもしれません!!」
「え?!?!ほんとうですか?!?!こんなGW真っ只中に芸術祭が開催されてる時に?島に泊まれることなんてある?!」

実は、わたしが立ち去った後、島でできる限りゆっくりした時間を過ごしてほしいと、先ほどお話ししていた地元の農家の方が、知り合いで民泊を営んでいる方に直接お電話して宿をおさえてくださっていたのです!!
こんなことって、本当にあるんだ、、!島民の方の優しさへの嬉しさと感謝の気持ちと、、言葉にできない感動でいっぱいになりました。

おかげで帰りと明日の早朝に並ぶ予定だったフェリーの時間を心配する必要も、いつ空くかわからない、横になれるかもわならないネットカフェに行く必要もなくなりました。
(明日の朝一のフェリーに乗りたくても岡山から宇野までの始発との乗り合わせが悪いという不安もあった。)

そして、本来なら島からいなくなっているはずの時間に港で拝むことのできた夕日の美しさ。
本来なら考えてなかった島での夕飯探し。
お散歩の延長戦で見つけたゲストハウスのカフェでクリームチーズと自家製レモン酒をいただいた。そこで出会ったゲストハウスのオーナーの女性が、この夏お世話になる方です。 

今日の出来事を感動冷めやらない状態でお話ししてたら話し込んでしまいました。こんな素敵な人たちがいて、美しい風景も農業も芸術もあって、のどかな時間が流れてる。この島はもう手を加えちゃいけないくらいすでに豊かですねって率直に思ったことを言ってみたら「夜になったらわかるけどこの辺は空き家だらけで、この島は限界集落の極限なんだよ」と教えてくれたーー

東京には人も物も情報もありすぎるけど、ここにはなさすぎる。
でもここには日本の美しい風景と豊かさがある。
ちょうどこの春は東京で働くことを決めようとしてた時。このショックは思いの外大きかったです。空き家と都市と地方のこと。これからしばらく考え続けるんだろうな。どうしたらいいのか、何がいいことなのかよくわからなくなりました。こんなことを考えるきっかけになった一晩でした。

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翌朝。もちろん、島で目を覚ましたわたしは豊島美術館に開館とほぼ同時に入館することができました。

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この出会いは、芸術祭が素敵なスタッフの方々の働きと島の人々のご理解あって成り立っているのだということを教えてくれました。
そして今、わたしが瀬戸内で夏を過ごすことにつながる新たな出会いをくれました。

春の瀬戸内ひとり旅では、芸術祭を満喫するだけでなく島に宿泊する貴重な時間と島の方々の暖かさに触れる素敵な経験をし、
夏に過ごす瀬戸内では、蝉とカエルの鳴き声で目覚め、個性豊かすぎる方々にたくさん出会う刺激的な時間でした。

豊島に移住してくる人たちは、自分が好きなことをとことんやろうとして、島のために何かしよう、このままではだめだという問題意識を人一倍持っています。
でも、ただがむしゃらに働いているわけではないんです。
友達や家族、島民との繋がりがとても強い。
今日はアートを見に行こうってお店を閉めることだってあるし、仕事が終われば近所の友達を呼んでホームパーティ。ビール片手に夕日を見に行くことも。台風の日は、観光業は成り立たないけれど島に島の人しかいない特別な時間。今日は特別メニュー出すよなんていうお店もあるくらいなんです。
芯は強く持ちながら、島の環境と自分たちの暮らしを楽しむゆるさを知っている。

日本の原風景の中で、アートに触れながらゆとりのある暮らしを送る人々が生きる豊島。

そこには私たちが学ぶべき生き方がきっとある。

空き家だらけで高齢化が深刻すぎる豊島。

そこには、私たちが何かできることもきっとある。 

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