いま、われわれはどう修行するか
先日、『技術者がどのように技術を習得し経験を積むか』ということについて、同世代の建築家の方とやり取りする場面がありました。
昔と違って、いまは無理が利かない時代です。本人にやる気があっても定時になったら作業は終わり。そうしないと、(経営者にとっては)こわーい労基がやってきます。制度だけではなく経営者のマインドとしても、『社員に無理はさせられない時代になった』という理解が進んできているので、そもそも仕事量は適度にコントロールされています。
その建築家の方は「昔なら5年ガマンして師匠に丁稚奉公すれば独立できたけども、今は5年では時間が足りない」と言っていました。働き方改革の影響で、技術者の修行の期間が延びてしまうわけです。
ぼくも、若いころに、睡眠時間を削って大量の仕事をこなしていたので、良くも悪くも、短時間で経験値をためることができたのですが、あの働き方を若い人たちに経験してもらいたくはありません。
一方、22歳の技術者希望Oくんも、この議論に入っていたのですが、彼は「もっと経験を積みたい、もっと勉強したい」と言っていました。現状の働き方では成長が遅いのではないかと危惧しているのだと思います。たしかにそう思う人も一定数いそうです。
ぼくは、ディレクションがあんまり得意ではありません。気を使ってしまうからです。クオリティをある一定基準以上にするには、それなりに“粘り”が必要です。その“粘り”にこそ一流、二流、三流の差が出るのだと思っていますが、その粘りを他者に強いることへの抵抗があります。それは、ぼく自身が受けたパワハラめいた指導のトラウマの影響もありそうです。
ぼくを慕ってくれて、一緒にものづくりしている人たちにどういう成長の環境を創ってあげられるかは直近の課題なので、心身共にヘルシーな修行環境について詳しい人がいたらいろいろ教えてください。