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リグレット



灯台からみえる

淡いひかりの帆船は

白いかぜの上を進んでゆく


いつしか見えなくなっていく

陽だまりが肩を揺すったこと

オイルランプの囁きで
いくつも夜を明かしたこと


もう引き返すことはできない


ゆらゆら僕は

波に揺られている


ゆらゆら帆船は

風に揺られている


ひび割れた万年筆を手に取って

この海へ遺書を書こう


あの遠い国の物語と

懐かしい日々の思い出と


そして少しの後悔を


穏やかな風に

耳をすまして



茶埜子尋子

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