新茶のはじまり
今年も種子島から始まり、鹿児島県の知覧、大根占と移り鹿児島市や鹿屋、薩摩川内市や霧島市とだんだんと北上しつつ、その流れは全国的に広がり、お茶屋さんに新茶が並ぶようになってきました。
まだまだ出揃っている感じではなく、日々農家の皆さんは管理、摘採、製造、出品と忙しい日々を過ごし、また茶商の皆さんは自分たちの大切なお客様に向けて最適なお茶を選び仕上げたり合組したりと、これまた忙しい日々を過ごしています。
お茶つくりに簡単だった年などあったことは無いでしょう。そして、今年もまた難しい年だと感じています。3月の暖かさ、そして4月に入って急に夜温が低くなったこと。これは、春が重要なタイミングの作物であればどんなものだとしてもダメージがあることだと思います。
暖かくなりすぎてしまえば、芽が伸びるスピードが速くなってしまい、またその伸びた芽に霜が降りてしまうと、芽が傷んでしまうこともあります。
この時期の茶農家さんは細心の注意と危機管理能力とあらゆる技を使って霜から茶畑を守るために全力を注いでいます。夜中様子を見に行ったりすることもあるそうです。そんな何日もかけて茶畑を守り、ついに市場へ出品し茶商の皆さんからの評価をしっかり受けて落札されたときはきっと喜びも大きいのでしょう。
今日も農家さんが1年間手塩にかけて、こだわってこだわって管理してきた茶葉が摘まれ、最高の技術で製造され、茶商さんがそれを評価し仕入れ、お客様またはお茶屋さんに向けて仕上げます。そして、そのお茶を好むお茶屋さんのもとへお茶好きさんが買いに行きます。
お茶が嗜好品であることで生まれる「こだわりと好みが連鎖する流通システム」は、今日もまた全国または世界にいる誰かの好みにハマるように作用して、お茶と幸せを届けています。
きっと、今年もまたあなたの好みのお茶はあるでしょう。そして、あなたの好みでないお茶は誰かの好みのお茶となり、また旅を続けて誰かのもとへ届きます。この流れは、一人一人がお茶を飲めば飲むほど広がっていき、より好みのお茶に出会える確率は上がっていきます。いろんなお茶に出会えるようになった今こそ、どんどんお茶を飲んで消費して、農家さんも茶商さんもお茶好きさんも皆でお茶を愛でて楽しんでいきたいですね。
新茶の新しい味わいは、旬であるこの時期が最もおいしい時期でしょう。
ぜひ、より多くの新茶を味わって、2023年新しいお茶を楽しんでいってください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?