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21.姉が高1で家出をして10年間帰ってこなかった話

サブタイトル
妹に『皆んなそれぞれ勝手に生きていくから、他人のことは気にしなくていいよ。』と言われるに至った話②

高校生の私が家に居つかなくなる話をしたけど、その前に姉が家を出ていった。
姉は16歳から家を出て、その間に結婚、出産した後シングルマザーになってまた戻って来るまで、約10年家出をした。
食卓の様子から分かる様に、我が家の雰囲気は最悪だった。
ちょうど思春期を迎えた姉が親に口答えをしたのをきっかけに喧嘩する毎日。堪えきれず手が出て、逆上した姉が出て行き、数日経ってまた家に戻る。
そんなことを週1以上のペースでやっていたので正直私は頭がおかしくなりそうだった。姉に対しては、このゴリラ、わざとケンカをふっかけて出て行く口実にしてるだろ。と頭の中で何度も悪態をついた。
そんなことを数ヶ月続けていたら、ついに姉が帰ってこなくなった。
姉が居なくなって正直私はホッとした。
これでもう、不良の彼氏がうちに来る事もないし、バイクで迎えに来た姉の男友達との退屈な時間に付き合う必要も無い。一番嬉しかったのは、食事の時に必ず起きていた父VS姉の取っ組み合いをもう見なくて済むのだ。
激情型で性格が似ている父と姉は、ヒートアップしては総合格闘技が始まり、ちゃぶ台でも無いのにテーブルの上の皿をひっくり返し、泣きながら割れた皿を母が片付ける。お決まりの様に繰り返されるこの茶番に、私は心底嫌気がさしていた。姉が口答えをして父にケンカをふっかける度に、こいつまじでいなくなればいいのに。と何度思った事か。怯える弟とまだ保育園に通う妹。怖くなって妹が泣いてしまうこともあった。こんな小さい子になんて物を見せてんだテメェらは。泣くだけで二人を止められない母。私が止めに入ると、まさかのこっちに矛先を向けてくる父と姉。
こいつら全員頭がおかしい。

野生のゴリラが自ら居なくなってくれて、本当良かった!ようやく元の平和な生活が久しぶりに戻ってくる。と私はなんとも言えない安堵感を感じたのを今でも鮮明に覚えている。
相変わらずの冷めた不味い食事だったが、とりあえず日常は戻ってきた。
だか、我が家の転落はここからだった。
違う所でもう既に手遅れだと、後々気付く事になるのである。

つづく

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