疑似恋愛と嘘
昨日は飲みすぎた。もう二日酔いなんてしないと思ってたけど、全然ダメ。
港区女子的に、六本木の「お食事会」に参加。私は代わる代わる登場する経営者にひたすら媚びを売っている。こんな会が本当にあるのねー、なんて高みの見物するハズが、気づいたら二次会別会場まで参加。完全に飲み過ぎて、そのうちの一人の家で目覚める。
なんで私はまた知らんおっさん家で裸で寝てんだ。
私は何がしたかったんだ。
なぜか無性にセフレくんに会いたくなった私は、真夜中にもかかわらず連絡する。すぐ返信があって、待ってるねとのこと。あぁ本当に都合のいいやつ。最高。フットワークが軽いのと、家がいつでもオープンなのはセフレとして完璧である。
私はその知らないオッサンの家をこっそり抜け出し、タクシーで彼の家へ向かう。もう正直吐きそう。ほんとうに飲み過ぎたな、、などと考えている間にも彼と会えると思うと、心は少しずつ回復していった。
もうほとんど明け方になって彼の家に着くと、なぜか彼は起きていた。彼は優しく私の頭を撫で、「おかえり」と言って私を抱きしめた。
彼は、私がスッピンなことも、私の髪の毛から高いシャンプーの匂いがすることも、私がどこで誰と飲んでたのかも聞かず、ただただ抱きしめてくれた。
私たちはそのまま何度も重なり合って、もうお互いよく知った相手の弱いところをいじめ合う。知らんオッサンとセックスした後だと、彼とのセックスはいつも以上に気持ち良い。一通り行為を終えて、二人絡みつくようにベッドの上に横たわる。彼は私が眠りにつくまで、ずっと優しく髪を撫でた。
本当に彼はいつでも優しい。
私に干渉してこないところがすき。私が誰と会って何をしても受け入れてくれるところがすき。付き合おうとか言ってこないところがすき。仕事の話をしないところがすき。私の話をいつも笑って聞いてくれるところがすき。
でも本当は気づいてるんだ。
干渉して来ないんじゃなくて心配してないだけなこと。受け入れてくれてるのは体だけなこと。付き合おうって言ってこないのは、他に良い女がいるからなこと。私が呼んでる彼の名前は、本名じゃないこと。何にも言わなかったけど、今日実は君の誕生日だったことも。
本当は、抱きしめてくれた時、彼に泣きつきたかった。「怖かったね、もう大丈夫だよ」って言って抱きしめて欲しかった。でも何故か、彼の前では涙も出なかった。弱いところを見せたら、きっとこの関係が終わってしまうってどこかでわかってるんだろう。お互いのためにならないから、涙は流れない。ただそれだけ。本当に私の体は良く出来ている。
先がない関係だってわかってるけど、今はもうちょっとだけ彼の「優しさ」に甘えよう。そんなことを考えながら、おそらく別の女の元へ向かう彼を送り出す。
暗くなる前に、私も帰らなきゃ。
東京で生まれ育った25歳女の、リアルな生活をお届けします。