ナミダ壺
きっと誰もがココロの中にナミダを溜める場所を持っている。
壺のような中に小さな頃から溜めてきてるのかなって思ったりする。
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昨夜遅くに80歳代のポヨさん(女性)からお電話があった。
ポヨさんは、このところ精神的に上がったり下がったりを繰り返していた。
電話の最初は、事務的な用件だった。
でもきっとそれは急ぎの用事ではなかったので聞いて欲しいのはそこではなかったのだと思う。
そしてしばらく話をしていると
「私ね、鼻を高くする美容整形を受けようかと思うの」
「そうなんですね〜。なんでまたそんなふうに思ったんですか?」
「私はね、小さい頃に親からブスだブスだって言われてきたのよ。だから結婚もしてこなかったの。ブスだから結婚したらいけないと思ったから。妹の方が可愛いって言われたのよ」
「そうなんですね、それは悲しい思いをされましたね。ポヨさんは、可愛らしいかただと私は思っていますけどね。」
「そう?そんなこと誰も言ってくれやしないわ、でもありがとう」
こんな会話をしばらくして眠れそうというので電話を切った。
* *
ポヨさんは、夜遅くになって、小さい頃に親から言われたことを思い出して悲しかった思いを吐露してくれた。80年間近くもこのナミダを壺にポタポタ落としていたのだと思うと切ない。
誰かのたった一言やたった一つの行為がこうやって何十年経っても壺に入っていたナミダがふと溢れ出してくるのだろうか。
この話をポヨさんに聞いて自分のことも思い出した。
私も幼少の頃にたった1回だけ伯父に私と妹を比べて妹のことを褒めたことにとても傷ついた。普段は忘れているのに何かの瞬間に思い出すことがある。
大人になってからは伯父は、妹のことよりむしろ私のことを褒めてくれていたのにも関わらず、その時の記憶が消えていないことに気づく。
なんで?なんで?今、そう言ったの?って聞けたらよかったのかもしれない。
ポヨさんの親御さんも私の伯父もすでに亡くなっているので今、問いかけることはできない。
こうやって聞けないままのことを人は自分だけのココロの壺の中にナミダを溜めてしまっているのかもしれないなぁ。
お客さん(患者さん)たちと話していると自分自身とリンクすることも度々ある。
それは、私自身が気づくようにメッセージを送られているのだと思っている。
* *
ナミダ壺の中のナミダは、小さい頃からのものもあれば現在進行形のものもあるだろう。
今回の記事では、前者のお話をしようと思う。
体は大人になっているのだけど、ココロの中でインナーチャイルドが「辛かったよ。悲しかったよー。すごく傷ついたよー」って叫んでいる。
『内なる子供』と訳されるインナーチャイルド。
きっと全ての人にインナーチャイルドが存在している。
このインナーチャイルドを放置していると、気付いて欲しくてインナーチャイルドがメッセージを送ってくることがある。
それでも知らぬふりをしていくとインナーチャイルドは更に辛い気持ちになってしまう。気づいてもらえないのか・・・・そうかそうかって。
そして体の病気やココロの病気になる人もいるのかもしれない。
内なる子供の存在に気づき、内なる子供を思い切り抱きしめてあげよう。
「一人で辛かったね。頑張ってきたね。もう大丈夫だよ。」って。
今まで気づかないふりをしてごめんねと謝ってもいいかもしれない。
因みに私は、ハワイの問題解決法とも言われているホ・オポノポノを時々、思い出して使っている。
ありがとう・ごめんなさい・ゆるしてください・愛していますという4つの言葉を使って。ホ・オポノポノに出会ったのは、15年くらい前だったかなぁ・・・。ヒューレン博士の講演を聞きに行った時、すっごい魔法を聞いてしまったー!!と当時は思った。今も魔法だと思っている。
ついつい忘れてしまうんだけど、また今日思い出すことができてよかった。
1年くらい前にハワイ在住の方にお会いした時にホ・オポノポノの話をご存知なのか聞いてみたら「知らない」と言われた。あー、一般的ではないのかと思ったけど、4つの言葉を唱えるんですけど・・・と説明をしたら「あ、4つの言葉なら知ってるわよ。よく言ってるわよ」と・・・。日常的になっているよう。
昨夜のポヨさんからの電話で私のインナーチャイルドもチクッと痛みを感じた。だからちゃんとケアしてあげなきゃ〜。
私たちは、傷ついていることに気づかない振りが得意になっている人がほとんどだと思う。
「あー、今、私は、傷ついているんだー」とまずは、自分の気持ちをかんじるところから。
矢印の方向は、外側に向けずに自分側に向けていくこともポイントかもしれない。
傷つけるダークな役を演じてくれた人に矢印を向けてしまうと怒りで終わってしまう可能性がある。
今ある目の前のことは全部自分が引き寄せたものが目の前に作り出されているとするならえーっと、私は何に気づけばいいんだっけ?って考えてみる。
最近、ちっともケアされていない私のインナーチャイルドは現在こんな感じだと予想。どよ〜んとやさぐれているはずだ。石ころ蹴ってるかんじね。
ナミダ壺が満杯にならないようバキュームで吸引するか壺ごと天日干しして塩を作り、メルカリで売る!
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この記事をこれで終わろうとしていたのだけど、ふと気づく。
今まさにそのインナーチャイルドを形成しているところにも私たちは遭遇してしまっているのかもしれないと。
今、訪問しているお客さまで子供さんがいるママがいる。
ママは、重い病気にかかっている。
今、目の前で苦しんでいるママをみて子供さんたちは、自分のナミダ壺の中にいっぱい溜めているんだろうなぁ・・・。
ママが見てるから泣かないで頑張っているんだろうなぁ。
できるだけ子供さんたちに後悔が残らないようお手伝いができたらいいなぁと思う。
(後悔が残らないように…とは書いたけどまだ諦めない、生き抜いて欲しいと願っている)
今日も誰かのナミダがポタっと落ちているのかもしれない。