#ゲーム制作徒然「#マーダーミステリー『ALICE/Mystery』制作後記」
#ゲーム制作徒然 。
どうも、死に急ぐ生命の果実です。
みなさん、ゲーム作ってますか?
え、作ってない。
まぁ、そういう方もたくさんおられますでしょう。
自分はというと、仕事にしろ趣味にしろ、ゲームを作るということには何かと縁があります。
自分が作ったものでひとが楽しそうに遊んでくれるのを見ると、なかなか感慨深いものがあります。
さて。
先日機会あって、はじめてマーダーミステリーというものの制作に挑戦してみました。
公開してからある程度の時間も経過しました。
時期も時期だと思うので、制作時の考えや気持ちの動き、リリース後の反応なども踏まえて、反省会など制作後記をまとめようと思います。
ざっくり以下のような構成でお話をできればと考えております。
「ALICE/Mystery」のご紹介
知らない人も多いと思うので、まずは拙作のご紹介を。
ちなみに作品自体を知らなくても、ネタバレになることは基本この記事には記載しないため、ここから興味を持っていただけるような奇跡があれば、是非プレイしてみていただきたい。奇跡乾杯!
ダウンロードはBOOTHからどうぞ。無料です。
筆者について
いうても、マダミスはまだそんなに本数を遊んだわけではない。
グループSNEから発売されている比較的評判のよい定番作を数作、あとは玉石混合にはなるが同人であったりメーカー製であったりを数作という程度だ。
なので、よく言えば先入観にとらわれず、悪くいえば素人が作ったものとなる。
出来がよかったかは、正直この際どうでもよい。
経験が未熟故、正直稚拙なつくりであったという実感は強いし、そもそもいうほど遊んでもらえていない。
言ってしまえば、評価をするにも値しない作品である。
とはいえ、処女作なので思い入れはある。
それはそれ、これはこれだ。
前置きが長くなった。
今回は反省会ということで、制作後記として当時を振り返り記載していく。
これからプレイしたいという人がいる可能性も考慮し、ネタバレは極力しない方向で書くようにするが、途中どうしても内容にほんのり触れてしまう場合があるので、気にする方はこのあたりで回れ右をして、まずは作品を遊んでいただきたく思う。
着想
まず「着想」である。
つまるところ、なぜ作ろうと思ったのか。そこに触れておかねばなるまい。
主だった理由はふたつある。
1.タイミング
ひとつはタイミングである。
今回制作した「ALICE/Mystery」は、#クラッシュフィーバー というゲームを題材にした二次創作である。
コンテンツの9周年の節目に行われたユーザー参加型のコンテストに、「マーダーミステリー」を作品として応募できないかというところがスタート地点にある。
「クラッシュフィーバー」については、過去の記事で触れているため、興味のある方はこちらの記事を参照されたい。
2.マダミスを作ってみたいという気持ち
もうひとつの理由は、至極単純な興味である。
少し前、webの記事で「素人が素人なりにマーダーミステリーを作り、それを皆でプレイして楽しい時間を分かち合う」という趣旨の記事を拝見した。
実に楽しそうである。
では自分もやってみよう!
そういった具合である。動機としては十分だ。
※ちなみにこの記事は書き手の方のセンスもあり、非常に秀逸である。
あわよくば、記憶を消して実際にゼロからプレイしてみたいものである。
要件定義
マダミスをプレイしたことはあっても、制作に関する知識はゼロだ。
まあ、やる気が出た時点で進捗は20%くらいなので、悪くはない。
男の仕事は八割が決断だ。それから先はおまけみたいなものである。
というわけで、この時点で要件とこの先の流れを整理してみる。
重ねて申し上げるが、筆者は素人である。
セオリーなどはこの時点では考えていないため、ハラハラしながら読み進めていただきたい。
「クラッシュフィーバー」の世界観を追体験させる
世界観をなにかしらの形で生かした「ギミック」を入れる
比較的軽め(90分~120分くらいのボリュームを想定)
登場人物は5名。GMを含め6名でプレイする想定とする
1.「クラッシュフィーバー」の世界観を追体験させる
もとより、これはあくまでフレーバーにとどめるつもりだ。
世界観はあくまで世界観。
個人的には、それはゲーム性とは切り離して考える主義だ。
ただ、物語の核であるゲーム性・ギミック・体験には、この要素は絡ませたいと考えている。
ソシャゲの場合、プレイヤーはあくまで「主人公」だ。例外はあるが、多くはない。
一方、マーダーミステリーの場合は全員がある種の「一般人」だ。
このギャップを埋めるため、プレイヤーには「クラッシュフィーバー世界の一般人」というテイで参加をしてもらおうと考えた。
2.世界観を何かしらの形で生かした「ギミック」を入れる
ギミック、体験、ゲーム性……いろいろな表現があるが。
マーダーミステリーは基本、その名の通りミステリーである。
なにかしらの事件(大抵は殺人事件)が発生して、被害者がおり、誰が犯人かを推理するという要素をゲーム体験の醍醐味とする。ならば、トリックに関わる主要なギミックを用意せねばなるまい。
というわけで。
原作の世界観を活かし、殺人事件の推理のメインギミックになりえる要素を、ここで考える。
いろいろ思案したものの、オーソドックスに「ネットとリアルの二面性・匿名性」を主軸とすることにした。
メタバースとアバターという要素を噛ませることで、プレイヤー全員に「バレてはいけない裏の顔」を持たせるのだ。
3.比較的軽め(90分~120分くらいのボリュームを想定)
これは読んで字のごとくである。
筆者はこの時点で長編・複雑な作品はプレイ経験が圧倒的に足りていない。
故に、イメージはグループSNEの小箱程度を想定し、ボリュームを想定する。
4.登場人物は5名。GMを含め6名でプレイする想定とする
物の本によると、初心者が作る場合の人数は5人がよいらしい。
プレイヤーの数が偶数だと票が割れやすくなり、面倒な処理が発生する可能性が高くなる。
3人か5人かだと、少ない人数ではある程度作り手のテクニックが必要となる。
3人の場合、一人の潔白が証明されてしまうとそこからゲームが崩れるのだという。
故に、今回は一旦5名プレイを想定する。
第一の壁~主軸の模索
しかしながら、早くもここで破綻……というほどではないが、壁がそそり立つ。
シナリオでは導入で大抵の場合殺人事件が発生し、関係者が集められ、その中に犯人がいるという寸法で話が進む。
しかしながらここで、要件で設定した「登場人物は皆ネットとリアルの二面性があり、裏の顔は互いに知られていない」ということが問題となる。
さて、この場合立て付けはどうするのか。
つまるところ、以下の2パターンが考えられる。
A.全員ネットの知り合いで、リアルでは互いは知らない
B.全員リアルの知り合いで、ネットでは互いは知らない
このどちらかを選択せねばなるまい。
混合させると話がごちゃつくのが目に見えているので、第三のパターンは考えないことにする。
で、今回選択したのはパターンAだ。
理由は単純。というか深く考えず。
原作ではネット世界をメインとして描き、リアル側はほとんど描かれないため、表現しにくいのだ。という理由で二次創作としてはこちらを採用することにした。
そう、あくまでコンテストの応募作品であることを忘れてはならない。
では、さくっと犠牲者を作ろう……。
あれ?
第二の壁~不可能犯罪をどう行うか
『ネットの世界で、犠牲者ってどうやって殺すのん?』。
わりと固い壁にぶつかってしまった気がする。
―が、まぁ仕方がない。勢いで掘り進めてみよう。
原作ではアバター消失に伴い精神的に死ぬとかそういう設定はあるにはあるが、それだとリアルとバーチャルを分けた意味がない。(なにより原作を知らないプレイヤーに不親切である)
ので、犠牲者にはとある手段を使って「間接的に殺された」という体裁を採用する。(反省すべき点①)。
OK、犠牲者はできた。
同時進行で、犯人も設定できた。
ネタバレになるので詳細は書かない。
第三の壁~設定の作り込み
マダミスからは逸れるが、物語を作るときには役割をハッキリ設定するタイプだ。
今回は「犯人」「被害者の関係者」など”被害者を軸とした人間関係”と、詳細は伏せるが”原作での対立構造”と、それらとは関係ない”恋愛事情”で、一筋縄ではいかない関係性を作ってみた。
詳細が書けないのがもどかしいが、それぞれにネットの顔/リアルの顔を設定する。
ネット上ではこういう関係性だが、リアルだとこういう関係性……で、その関係性を誰が知っていて、誰が知らないのか、矛盾しないように整理しつつ作り込んでいく。
難しいがなかなか楽しい作業であった。
第四の壁~原作という足枷
さて。ここで課題というか、問題点その②。
全く知らないプレイヤーに対して、原作の味付けをどのように伝えるか、という課題だ。
原作はハッチャケワクワクシャレオツポジティブポップなのだが、知らん人にはどないせえ、という問題。
とりあえず、「知らない人でも遊べる」という主軸は絶対的なものとし、以下のようなガイドラインで設定を整理していく。
原作のマニアックな設定はなるべく一般的解釈・一般的な用語に。
外せない設定はあらかじめ説明するか、もしくはゲーム内で得られる情報として扱う。
最終的には、「知らない人は最後まで知らなくてもゲームが成立する」こと。
知っておくべき人にはハンドアウトであらかじめ開示し、そうでないプレイヤーはプレイに支障がない、あるいは展開によっては知ることができるという構造だ。結果的に、いい落としどころに持っていけたのではないかと思っている。
第五の壁~デバッグ
さて。
被害者、犯人、プレイヤーが揃った。
多少無理があることは承知で、犯行も行われたと仮定する。
問題はここからだ。
「この状況証拠から、プレイヤーは正解を導き出せるのか?」。
ここからはセルフでシナリオの読み直しとあらさがし、情報の開示方法などを吟味する。
で、これが読めねぇわけよ(嘆息)。
知人にテストプレイに何度か付き合ってもらったが、プレイヤーによって取りにいく情報も、情報の開示の仕方も、もちろん推理や犯人の推測もばらけるばらける。(いや、そこは収束してもダメなのだが)。
最終的には、 以下の調整を加えることでFIXとした。
自分の目的を阻害しない限り、情報は公開することを推奨
密談はなし。すべてオープンな場で情報をやりとりする
密談に関してはあってもよかったかもしれないが、それによって展開がスムーズになりすぎても困るというのが正直なところだ。
テストプレイヤーの方から何人かに「密談はないんですか?」と言われたが、今回はないのだ。そういうものなのだ。正直すまんかった。
第六の壁~エンディング
犠牲者ヨシ、犯人ヨシ、プレイヤーヨシ、推理ヨシ。
そうしたらあとはエンディングだ。
(ちなみに、このタイミングでサブの勝利条件やら整合性のあるウソをつくための仮の情報とかもいろいろ書き足したように記憶している)。
エンディングは、さてどうしたものやら……。
犯人見つかってよかったねー。では終わらない。
先にも書いたように、ネットとリアルの絡んだ複雑な人間関係があるのだ。
それぞれに対して決着をつけてあげるのが作者の使命というもの。
というわけで、分岐を作ってそれぞれにエンディングをああああああああああああ!!!(憤死)
まとめ
―と、まぁそんなこんなで形にはなりました。
興味のある方は是非プレイしていただいてもろて……。
制作後記とはいいつつ、ネタバレに言及しないとなるとほとんど書けることがないな……と、ここまで書いて改めて思う次第。
この記事の存在意義とは。
まとめよう。
今回の制作でよかったこと。
きちんと作りきって公開できたこと
何人かの人に遊んでもらえたこと
原作再現をイイ感じに落とし込めたのでは?
エンディングを結構なパターン作ってえらい!
ココフォリアやデザイン面もこだわれた
こんなところだろうか。
一方で反省点も多い。
犯人はできるだけ直接手を下そう!(間接的だといろいろ面倒だぞ!)
証拠とかが曖昧だとだいぶごちゃつくぞ!
シナリオでプレイヤーが盛り上がるポイントをきちんと想定する
根幹となるギミックは重要!(初回にしてはできてた方だと思う
プレイヤーの関係性の作り込みが甘い
内輪ウケのネタはスベる
こんなところか。
作るのは楽しかったし、遊んでいただいてフィードバックをもらえるのもとてもよい経験になったと思う。
ぜひともこの経験を今回だけのものとせず、継続して作品作りに活かしていきたいものである。
あと、最大の課題点がひとつ。
ダウンロード数伸びねぇーーーーー!
どうしたらいいんすかね、これ。
今回はメインがコンテストの応募だったからよかったけれども、どうしたらひとの目に触れて遊んでもらえるのかは、継続して模索していきたい課題のひとつである。
定期的に作品を作って、クオリティを上げて知名度も上げていく……くらいしか思いつかない。
詳しい人、そのあたりお話お聞かせいただけると嬉しいです。
といった感じで、本日は以上。