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無駄づくりがいっぱい詰まった『考える術』は、ムリなくしの書だった(後編)
こちらは前編のつづきです。
のるかそるか。というより、のってそる
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一時期タピオカが流行った。わたしもタピオカは大好きなのだが、多くの女子と一緒に並ぶのは気が引けるし、インスタでタピオカをみたいとは思わない。藤原さんも、インスタ映えを阻止する志を抱き、『インスタ映え台無しマシーン』を発明した。スイッチを押すだけで、カメラに指が重なるという仕組みだ。
トレンドを持ち出し「あるある」の共感を集めた後で、それを裏切り、叩き落とす。そのアップダウンがあるから、そこにひらめきを感じる。単にトリッキーで、目新しいだけじゃない。既視感と新鮮さ。常識を疑うのはけっこうだが、非常識では受け入れられない。
唯一無二かは知らんけど、社会性はいらん
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自分の欲をだいじにする。「人に認められたい。ほめられたい」という人には言えない、ちょっと嫌な自分も、お世辞しか言わない魔法の鏡があればだいじょうぶ。「人に知られたら、恥ずかしい。。」と思ってしまう、他者の目にさらされていることを意識し続ける現代人こそ、本書が必要だ。
ちなみに、最近手に入れた『模倣と創造』にも、通ずる内容があった。こちらの書籍も、熟読したい。
あなたが小さかったころ、自分の空想による豊かな世界を持っていて、それに没頭し表現して遊んでいた時期は必ずあったはずです。
ある研究によると、それが大きく変わるのは、小学校5、6年生の時期だといいます。この時期は教育心理学では、転換期と呼ばれており、「自我」が生まれます。「自我」とは、自分と他人との違いを見分けられるようになることです。自分を中心にした世界に生きていた私たちに、他の人がどう考えるのかという社会の意識が芽生える時期です。
その結果として、自分は他の人と比べてこれができる、これができない、などの比較をするようになります。この過程を通じて、友達や、学校、会社などの集団のなかで、自分がどう過ごすべきかを自然に考えるようになるのです。(略)
私たちが持つ創造性にアクセスするためのカギは、「自分の気持ちに素直であること」にあると思っています。
変な人、変なものに感情移入する
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情報とタイトルにあるが、藤原さんが選ぶ情報は、変なものばかりだ。他人の困りごとをSNSで調べたり、いなくなるときにおじさんが使う「ドロン」というおじさん言葉だったり。(ちなみに、ドロンするデバイスは本書にはでてきません)
半径1mの日常の外からも、貪欲に新たなアイディアのタネを集めてくる。このとき注意が必要なのは、その解決策が一見乱暴ながらも、人を傷つけないやわらかさを意識するところだろう。人が困っていることをネタにして、不愉快にしてしまっては元も子もない。
自分を自分で救えば、みんな幸せになれる
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「一人だけど、パピコをたべたい。2つに分けても、渡す相手がいない」そんな一人ぼっちのモヤモヤも、1人でパピコマウントがあれば万事解決。
感情が揺れ動く瞬間や対象はひとそれぞれ。だからこそ「そんなこと考えたこともなかった」とか「わかる!いい!」の両方の声が集まるユニークなものが生まれる。それに、だれも自分のことを救ってくれないなら、自分で救えばいいじゃない、という気概をもてたら、もうそれは無敵だろう。
「考える」を考える藤原さん、を考える
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最後に、本書のまとめを一枚にしてみた。右下(本書の8章の内容)の大喜利・寝太郎はなんのことやらかと思うが、大喜利のように時間を制限し、30分でアイディアをだすことや、三年寝太郎のようにたまにはぼーっとする時間をもつことで、考える習慣づくりをしよう、という話だ。
「社会性を捨て、自分を救う」それが無駄づくりや、新しいものを創造する真骨頂なのかもしれない。暇で、余裕のある人よりも、多忙でキッツキツの人たちこそ、自分を救うために無駄づくりをして、新しいことに挑戦するべきなのだろう。
ぜひ多くの人々に、本書と無駄づくりが届き、うちの会社にも講演に来てほしいと願うばかりです。