子供の好奇心に対して、大人がすべきこと(すべきでないこと)
掲題に対して、僕が言える事はただ一つ、
それは、好奇心を否定しない、それだけです。
◆小学生の頃の話
僕が小学生の時の話をします。
僕は当時絵を描くと共に、科学が大好きで、
暇さえあれば図書館に通い、
家に帰れば、NHKの科学番組を食い入るように見ていました。
そんなある日、
僕は生き物がなぜ呼吸して酸素を得ないと生きていけないのかが、
とても気になり、理科の先生に聞いてみました。
「なぜ(生き物は)酸素が無いと生きていけないんですか?」と、
それに対する先生の答えは、
「酸素を吸わないと死んでしまうからです」という答えでした。
遠い記憶なので、あるいは僕の質問の仕方が悪かったのかもしれません。
でも僕は、何故酸素が必要なのか、そのシステムが知りたかったのです。
僕が何度も食い下がると、その先生は冷たい表情を浮かべ、
「そんな質問をしてくる方がバカなんだ」と言わんばかりの態度をとりました。
それ以来、僕は大人に質問するのをやめ、
すべて自分で調べるようになりました。
実際、その質問の答えとしては、細胞のエネルギーとなるATP、
(アデノシン三リン酸)という物質に関係していて、
私達は呼吸により酸素を吸い、取り入れた酸素は肺で血液の中に溶け込み、ヘモグロビンに吸収されて細胞まで運ばれるわけですが、
細胞の中のミトコンドリアが、その酸素を使って糖を分解してATPを生産し、その過程で二酸化炭素が生まれて、それを吐き出すわけです。
◆質問に答えられるかは重要じゃない
勿論、その事を全ての理科教師が知っているとは限りませんし、
知っていたところで、小学生レベルにうまく要約して伝えるのは、
とても難しいことかもしれません。
ただ、その場で上手く答えを提示できなくても、
「次の授業までに調べておくね」とか、
「先生もわからないから、一緒に調べてみようか」とか、
そんな風に言ってくれていたら、僕は納得していたと思います。
結果的に、僕が科学への興味を完全に失う事はありませんでしたが、
大人の前で素直に好奇心を見せる事へのためらいは生まれた気がします。
◆大事なのは、好奇心を否定しない事
はっきり言ってしまえば、別に知識を与えるだけであれば、
先生のような専門知識を持った大人でなくてもいいと、僕は思います。
ましてや、今の時代はネットがあります、Wikipediaもあります。
本だって沢山あります。簡単にダウンロードもできます。
しかしながら、知識への興味を持たせる事は、簡単ではありません。
大人のちょっとした一言で、それは左右されてしまう事もあります。
少なくとも、否定だけはしてはいけないのだと思います。