54歳でも続ける鉄拳8 その23
なろう系のラノベとかマンガとかで、よく「こ、ここはあの超人気乙女ゲーム『追放された転生悪役令嬢は即死チートで農場経営のかたわらお気楽領主生活でのんびり無双ライフですが何か?』の世界じゃないですか! そ、それにあそこにおられる方は攻略対象筆頭の第3王子ドスケベーヌ=エロイヤネン様! ゲームでさんざん見たからはっきり覚えています!」みたいな感じで、「ゲーム内世界に転生したことを登場人物の名前と顔で知る」っていうシチュエーションがあると思うんですが、でもさー、ゲームキャラの顔って、それが現実化したとしてすぐに分かりますかね?
乙女ゲーでも漢ゲーでもどっちでもいいけど、まあ大抵のそういう系統のゲームの顔グラってアニメ調じゃないですか。だから、そういうアニメ調のゲーム世界に入り込んだとして、ラノベもマンガもまさかそのまんまアニメ調の世界という想定ではないと思うから、やっぱり現実世界と同じ解像度なわけで、そんな世界の中で「ややっ! あれはヒロイン候補のナニナニ!」とか見分けがつかないと思うんです。
たとえば私がトラックに引かれて鉄拳界に転生したとしますよ? そんでまあ最初から「ああ、俺ってば転生したんだな」とはならないでしょうから、「あれー? おっかしいな。死んだはずなんだけれども」てな感じでかなり戸惑うと思うんですよ。そういうところへですよ、「どうなさいまして?」みたいな感じで紅茶片手のリリ嬢にエンカウントしたとしてですよ、そんときに私が思うことって「ん? なんでこの人リリみたいな格好してんの? コスプレ? なんで平日の昼間っからこんなとこでコスプレしてんの? ていうかなんで紅茶持ってんの? なんかやばい人?」ぐらいなもんで、それが本物のリリでありこの世界は鉄拳界なのであるということを一挙に理解するというのはなかなか至難の業だと思うのですよ。
でまあ、そんなことはどうでもいいんですけど、私のリリは負けに負けまくってあっという間に真龍の真ん中辺まで落ちてしまいました。ときどきある、なにをどうやっても全然噛み合わなくて負けまくる日、というやつでして、まあ相手の出す技出す技が軒並みこちらにヒットしまくりで、あーもすーもなく連戦連敗、もう半ば薄ら笑いしながら負けまくりました。
こないだのアップデート以降、噂では「ランクマは同段の相手としか当たらない」という仕様になったらしく、もしかするとそれも私の連敗の原因かもしれません。確かに、天龍の間は天龍ばかり、真龍に落ちたら真龍ばかりと当たりましたから、あながち嘘ではないようです。
私自身、どのキャラが得意とか苦手とかなくて、もう全体的にうっすら全部苦手みたいな感じではあるんですが、最近その中でも「いやだなー。こわいなー」と稲川淳二のようになってしまうのが、準ですね。
こいつって、なんか連携がどこで終わるとかが特に分かりにくいんですよね。それに単発かと思ったら後から地面が爆発したりして、爆発どころか浮かされてコンボが始まったりして、どこまでガードすればいいやら、どこからこっちのターンに切り替えられるのか、そこら辺が視覚的に非常に分かりにくいんですね。
まあそれは別に準に限ったことでもなくて、ファランとかを筆頭に鉄拳のキャラってどいつもこいつもそういう感じで、そこが非常にムカつくポイントでもあるんですが、中でも準はそういう印象が強くて嫌いです。
ただ、これは私の悪い癖なんですが、どうしても「相手にうまく対応したい」と考えてしまうんですね。相手が出してきた技をしのいで、その後こっちがその隙に技をぶち込みたい、みたいな。
でもこれ、鉄拳だとかなりの悪手だと思うのですよ。
というか、鉄拳というゲームって、そういう「後の先」みたいなスタンスってものすげー不利な気がする(いきなり常態)。なんでかというと、まずキャラ数が馬鹿みたいに多い。しかも、そのキャラ一人一人が持ってる技まで馬鹿みたいに多い。多い✕多いだからとても多い多い。
フェルミ推定してみると、キャラ数が今確か35体で、各自が技や連携を50種類持つとして、35✕50=1750パターン。どこがフェルミ推定やねんという話はともかく、まあざっくり1800近いパターンの技を上段だ中段だ反撃フレームはいくつだとか覚えるの無理でしょ。
だから、鉄拳は「攻めたもん勝ち」なのだ。
ときどき見るプロの対戦動画なんかも、勝つ方はだいたい攻めまくった方である。もちろん、うまいこと受けてしのいで蝶のように舞い蜂のように刺して勝つ人もいるが、まあ大抵は鬼のように攻めている方が強い。プロでさえ、壁際で何も出来ずボッコボコにされて秒殺されたりするほどだ。
最近追加された平八なんか、なんというのか、上下に小刻みに揺れながら勢いよく前進するあの変態チックなキモい動きであっという間に相手の懐に入って大暴れしている。見ている側からすると「しゃがみパンチかなんかでペチっと止めればいいのに」とも思うが、まあやられている方からするとあの圧はとんでもないもので蛇に睨まれた蛙のごとく固まってしまうのも無理はない。
だから私のリリももっと攻め手を充実させるべきなのだ。
準の連携が分からなくてガードできないよお、とか腑抜けた泣き言をほざく前に、相手が連携なんぞ出す暇がないくらいガンガン攻めて攻めて攻めまくってヒイヒイ言わせてやればいいのだ。相手がもうリリの顔なんか見たくないと布団をかぶって寝込んでしまうほど絶え間なく攻めてやるのだ。
まあ分かってはいてもそれができないから苦労しているのだが。
どうもスト6の頃からの悪い癖というか、なんか振り返って見ると古の初代マリオブラザーズの対戦プレイなんかももしかしてそうだったのではないかと思えるほど、私の心には「後の先」が刻まれているようにも感じられるのだが、どうやらスト6といい、鉄拳8といい、時代は「攻めたもん勝ち」にシフトしていっているようなので、私も心を入れ替えて、「攻める」ということに心を燃やしていきたいと思う。