読書感想20冊目:蟲愛づる姫君の宝匣(たからばこ)/宮野美嘉著(小学館文庫 キャラブン!)
注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。
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「蟲愛づる姫君の婚姻」シリーズ第六巻。
第一巻はこちら(次巻よりは順にリンクがあります)
【シリーズにおける注意】
各巻ではできる限りネタバレを避けつつ(本題でありネタバレなので)感想をあげていますが、巻ごとの感想では前巻までの話はわかっていることとして書き連ねていきます。
婚姻、寵愛、蜜月、純血、永遠から、第六弾は「宝匣」。
今回は初の短編集。
四本の短編と、お話の間に閑話の三本、締めくくりの終話となっております。
春は、お祭りのお話。「祭」
夏は、幽霊って怖いよね、のお話。「怪」
秋は、玲琳姫がついに懐妊、のお話。「宴」
冬は、国王夫婦の護衛役選びのお話。「謀」
閑話はそれぞれお話と季節をつなぐもの。
ちょっとした伏線になっていて、おや、あれは……?と考えるのが面白いです。視点も通常は玲琳姫が主ですが、今回の閑話では彼女以外の視点で、少しずつ違う表現で考えていること、見たこと感じたこと、行動などが表現されています。
ほんの数ページながら、彼らのこともあらためて深掘りできるエピソードです。
お話のあらすじはさておき、それぞれの感想で。
【春】
玲琳姫、葉歌ちゃんの訴えなら素直に聞きすぎだし趣向こらしすぎだし案外器用ですね!?
「大事な蟲で作り上げるものだもの、美しくて当然でしょう?」みたいなことを言うと思いますが、あなたどんなものでも自分が作った蟲毒にまつわるものなら全肯定では……?と思ってしまうところ。
ああでも、斎帝国で最低限の礼儀は身につけているので人の美醜はわからずとも、自然にあるものなら基本的に受け入れるし美しいと思うのかもしれませんね。
自然は得てして毒ですし、薬ですし、容赦がないし美しいですから。
お祭りにかこつけて小さな蟲病騒ぎが起こり、その黒幕はささいな願いで動いてるし受けてる方はこんなことで……って突っ込みたくなるし、そして本来のターゲットは言わずもがな、なオチだったので読み取りやすく納得しつつ、短編集の始まりとしてとても口当たりのよい一作だと感じました。
あくまで、このシリーズにおいてですが。
【夏】
これはちょっとだけ、ちょっとだけ『薬屋のひとりごと』とかぶるストーリーだなぁと思いました。
女の執念おそろしい。
お化けにおびえる葉歌ちゃんはめちゃギャップ萌えですが、あなた、それ怖いの方向性違うよね?とやはり玲琳姫のそばにいる人は違うなと感じてみたり。
そして人間がおそろしいと思わせて実は……なやりとりも、夏の怪談に相応しいなと思うところです。
そして登場しづらいキャラをこれだけ存在感濃く表現できる宮野先生すごいな!!!といつも思います。
【秋】
葉歌ちゃん大歓喜。とうとう国王夫妻に子どもが生まれることになります。
国をあげて大喜びな雰囲気の中、王様の鍠牙はほんとに難儀な性質、体質ですね。
ある意味繊細すぎるんだろうなぁと思うし、こんなどうしようもないめんどくさい男を伴侶として素晴らしいと思い、本性に対応できるのはやっぱり玲琳姫だけなんだろうなぁ。
途中でびっくりしたこと。妊娠中の玲琳姫、ばかすか酒飲んでけろりとしています。いいのか!?と思っていたら、「酒の毒は効かない」とのこと。
ひと安心ですが、こちらのお酒が好きな女性はとってもうらやましいと思うでしょうね。
【冬】
春と秋の回に登場のキャラが奮闘する回。
玲琳姫があちこち動くところはありません。
事件の顛末をおいながらも、こちらはなんというか、ほのぼのしてしまう感じがにじみでています。
ほら、やっぱりね。と言う感じ。
とりあえず、魁国は至って平和だし、基本的には落ち着いた国なんだろうなと(国王夫妻が一番ヤバイから)
【終】
ほんとにほんとに短いのですが、この部分は語りたい。
国王夫妻の子どもが登場。平和すぎる。すてきすぎる。
あんな変な夫婦から、無事に子どもが生まれている……!
と感慨深くもあるのですが、そこよりも重要なことが。
最後の最後、家族のやりとりで愛を語る場面。
いついつまでも変わらない「永遠」を、二人が紡いでいくのだろうなと感じさせるに相応しいやりとりに、家族もみな当たり前に受け止めている。
そんなアンバランスでありながら調和のとれたワンシーンに、よい締めくくりを感じるのでした。
公式紹介ページはこちら
コミック版もあります(第一巻のお話ですが)
お読みいただきありがとうございました!
第七巻はこちら