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読書感想22冊目:蟲愛づる姫君 寵妃は恋に惑う/宮野美嘉著(小学館文庫 キャラブン!)
注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。
ここから本文
「蟲愛づる姫君の婚姻」シリーズ第八巻。
第一巻はこちら(次巻よりは順にリンクがあります)
【シリーズにおける注意】
各巻ではできる限りネタバレを避けつつ(本題でありネタバレなので)感想をあげていますが、巻ごとの感想では前巻までの話はわかっていることとして書き連ねていきます。
婚姻、寵愛、蜜月、純血、永遠、宝匣の第六巻までが第一章。
第二章から「蟲愛づる姫君の〇〇」ではなく、「蟲愛づる姫君 副題」となっており、副題が長いので少し割愛して、「魔女」から始まり続いております。
でも、基本的に登場人物が変わるわけでも主軸が変わるわけでもない感じなのでご安心を。
今回のサブタイトルは「寵妃は恋に惑う」です。なんか、ときめき?がありそう?
そんな期待もあるところですが、忘れてはなりません。
このお話は、「蟲愛づる姫君」が主役です。まともであるはずがありません。
(褒めてます。すごくすごくすごく褒めてます)
そんな今回のお話。恋に惑う、は言ってしまえば「恋愛相談に戸惑う玲琳姫」が正しいのかなという印象です。
今回は王宮での事件ではなく、場所を移して起こります。
舞台は苑家の領地。玲琳姫と鍠牙王の宝であるふたりの子どもたちのうち、火琳姫の護衛を務める雷真の家にあたります。
その苑家当主からの申し出、内容は当主の母、つまり雷真の母である人物が玲琳姫との面会を希望しているとのこと。
魁国では慕われているとは言え、恐れられるのが通常の蟲師である玲琳姫に面会希望……?と皆がいぶかしがるものの、「蟲師である王妃」に会いたいとの希望に前向きな玲琳姫。
通常ならば玲琳姫がそばを離れることを嫌がる鍠牙王も、珍しくたいした反対もせずに送り出す様子。
そうして玲琳姫は、子どもたちとともに苑家の領地に赴くことになったのでした。
苑家の領地では、当主不在で病床にある雷真の母が挨拶を申し出る。
体調により一人で面会に向かった玲琳姫に、雷真の母、夏泉は大歓迎。蟲師の様々な知識を興味津々で聞き入ります。
そんな夏泉は、蟲師である玲琳姫に、「息子、雷真を呪ってほしい」と言い出します。愛する息子に呪いを?といぶかしがる玲琳姫に、夏泉は言います。
”許嫁と無事に結婚するために、惚れ薬を飲ませてほしい”
それが、苑家当主の母、夏泉の願いであり依頼でした。
さて、そんな呪いを申し出られてしまう渦中の人物二人はといえば。
堅物鈍感真面目を絵に描いたような雷真に、異性関係が華々しい珠理。結婚にめちゃくちゃ前向きな彼女に対し、なにやら断りたい様子の雷真。
ここで玲琳姫、恋のキューピッドになれるのか……
と思いきや、そこに起こる大事件。なんと、依頼人の夏泉が急死。
不審な死に、殺人事件の犯人扱いを受けてしまう玲琳姫。
事件そのものと、その裏にあるものの真実を追い求め……るわけではなく、ただ揺るぎなく蟲師として、誇りをもって事件に向き合う玲琳姫。
なぜ雷真は許嫁を拒むのか、対して、珠理はなぜ頑なに雷真との婚姻を望むのか。二人が結ばれることを心から願っていた夏泉の思惑。
そこに愛はあるのか。
と思わず突っ込んでみたくはなるものの、事態はあちこち絡まりがあるので、読み進めるのが楽しいところです。
双子ズは可愛いし賢いし行動力ありまくりだし、仲がよくて困っちゃうなぁぁぁ!となります。そして珠理ちゃんも複雑な心理の果てにそうなってんのねぇ、と思うところですし。
雷真も不憫ですね。ばかだから(言い方)
双子ズのお守り隊の三人としては、とてもすてきな関係性があって、すてきです。風刃も秋茗も、個性があってすばらしい。大人になりきれない、でも有能さがあるというアンバランスさがたまりません。
今回は恋、というお話になりながら、それぞれの複雑な過去や使命や思いが複雑に絡み合うところが見所なのかも。
しかし、どうしようもねぇなこれ!常識的にやばくない!?がぽろっと出てくるあたりは多少の胸くそ感は否めません。そのあたりはご注意を。
一言、絶対保証ができるのは。
登場人物、やっぱりみんな、おかしいね☆
につきます。
あとまぁ、国王夫妻は相変わらずです。そこだけは心の底から保証できます。最初と最後の絡みががっつり濃いめですかね。最近は玲琳姫が手綱を握るのが大変そうな印象も……
そんな一冊でございました。
公式紹介ページはこちら
コミック版もあります(第一巻のお話ですが)
お読みいただきありがとうございました!
第九巻はこちら