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読書感想18冊目:蟲愛づる姫君の純潔/宮野美嘉著(小学館文庫 キャラブン!)

 注:感想を書き連ねる間に重要なネタバレをしている可能性があります。ネタバレNGな方は読み進めることをおすすめしません。苦情については一切受け付けません。また、感想については個人的なものになります。ご理解ご了承の上、読んでいただくことをお願いいたします。

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だからこれからを作りましょう。

帯より

「蟲愛づる姫君の婚姻」シリーズ第四巻。
 第一巻はこちら(次巻よりは順にリンクがあります)

【シリーズにおける注意】
 各巻ではできる限りネタバレを避けつつ(本題でありネタバレなので)感想をあげていますが、巻ごとの感想では前巻までの話はわかっていることとして書き連ねていきます。

 婚姻、寵愛、蜜月からの第四弾は「純潔」。
 まぁタイトルそのままですね。今までは女性として見てもらえず婚姻後、夫婦としての営みがなかった二人。
 そんな二人に進展がある!……のか?

 本筋は二人がらぶらぶになる、というものではなく。
 新しい女官を迎えた玲琳姫、なにやら物憂げな様子。何もする気がない、と退屈を感じていることに気づかないほど退屈な様子。
 斎帝国から帰宮してからそうなったのだけれど、原因がわからない。
 自分が退屈しているのだ、ということを夫である魁国の国王であり夫の鍠牙によりやっと自覚し、驚く玲琳。
 そんな二人に衝撃をもたらす報せが。

 死んだはずの鍠牙の妹、累姫が帰還。

 心身ともに深く傷ついた累姫は、他者を寄せ付けず、医師も困り果てた様子。
 救いの手として求められたのは、蟲師である王妃、玲琳。
 兄であるところの鍠牙は渋い顔をしつつ、診ると決めた玲琳は譲らず、いよいよ累姫に出会い、診察することに。
 部屋に閉じこもっていた累姫は、たぐいまれな美貌とともに、たぐいまれなる口の悪さでもって玲琳姫を迎えます。
 つまり、医師に「劇薬には劇薬」論で押し付けられてしまうという事態。けれど玲琳姫は気にしません。
 なぜならクセが強、ではなく毒をこよなく愛す玲琳姫は、累姫にも毒を見出し「妹としてかわいがる」宣言をしてしまうのでした。
 累姫は累姫で、なんとなく玲琳姫になついている?様子。
 そしていろんな意味で玲琳姫を独占したい鍠牙はもちろんおもしろくなく。
 そうして、療養が必要と訴える、累姫の従兄弟(許嫁候補者)の求めに応じた鍠牙の決定により、累姫は領地での療養を行うことに。
 累姫がそれを望むのか否か。気になった玲琳が部屋を訪ねて問いかけると、思わぬことに。
 なんと、累姫は玲琳姫に「蟲師として人の殺し方を教えてほしい」と訴えます。
 その訴えに、玲琳姫は「説明をしてもらう」ため、領地へ送りと届けることにしたのでした。

 馬車の中で、約束を果たすように玲琳姫は累姫に迫ります。
 累姫は、こんな目に合わせたやつらに復讐がしたい。そう訴えます。
 あっさり快諾する玲琳姫。ほんとこういうとこ、ぶっ飛んでるなぁと思います。一瞬たりとて躊躇するシーンがありません。倫理観とか皆無。すてき。
 そうして、玲琳姫は累姫が思う「殺したい相手」に出会うことになるのです。
 すぎるほどの美貌を持ちながら、とんでもない口の悪さを持つ累姫。彼女が「こんな目に合わせたやつら」というのは誰なのか。
 そして、玲琳姫が感じてしまった退屈は、どう解消されるのか。
 さらにいうと、巡りめぐって割と、常に渦中の人物は変わらない気がします。この問題児め。と思わず言いたくなりますね。
 この事件がどう解決されていくのか、そのすてきなミスリード感とひねくれた愛憎と感情に思わず小さなうなり声が出てしまいます。

 いつもいつも思うのは、このシリーズ、ほんと登場人物が特殊施行すぎる。まともそうに見える人物が案外まともじゃなかったり、醜くてどろどろしているのにその中にいてもつねに美しくあったり(泥中の蓮というのがふさわしいのかも)。
 というか、このシリーズの登場人物でまともな人は基本的にいないんだよなぁ……といつも思い返すのです。
 玲琳姫がある意味いちばんまともなのかもしれない。自己認識が高すぎるのと他人に興味がなさすぎるのと毒と蟲を愛しすぎているのがたいへんなことくらいで。
 ……多いな。

 最終結論にてタイトルの意味が集結するこのシリーズ。
 今回の「純潔」が意味するところは、冒頭で書いたとおり「まんま」ですが、その純潔が帰結する未来は蟲師である玲琳姫と、どうしようもない病にむしばまれている鍠牙のやりとりを確認していただきたいところです。

 今回も外伝あり。タイトルは『泥中の蓮』。
 確認していてびっくりしたのは、記事を作成中には気づかず「泥中の蓮」と表記したのち、確認したらこのお話が載っていることに気づいたので、
ぴったりじゃん!!!
 と思うと同時、このお話の印象がそうだったんだなぁと思ったのでした。
 前巻では玲琳姫の両親のお話でした。こちらは鍠牙の両親のお話。
 タイトル、実際に使われてるものなんだなぁと改めて思ったところでした(気にしなすぎ)

 公式紹介ページはこちら

コミック版もあります(第一巻のお話ですが)

お読みいただきありがとうございました!

第五巻はこちら


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