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色がもたらす“見えない躓き”【色彩検定UC級受験記】
先日、色彩検定のUC級(ユニバーサルカラー級)を受験しました。
まだ開催歴も少なく、比較的マイナーな検定だと思いますが、受験した経緯や勉強法などをまとめてみたいと思います。
1、UC級とは
台風の被害情報をテレビで見るとき、こんな図があったとします。
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これは、色覚異常の人にはこのように見えます。
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被害地域が全く分かりません。
実は、このように見えている人は男性20人に1人いると言われています。
UC級では、基本的な色が見えるしくみから色の表し方、色覚のタイプによる色の見え方、高齢者の見え方、色のユニバーサルデザインの進め方について学ぶことが出来ます。
誰もが区別しやすい色の使い方を学び、日常に活かせる、そんな級です。
2、受験のきっかけ
就活時代、サステナビリティに興味があって、特にお菓子や日用品などのパッケージのユニバーサルデザインをやりたいと思っていました。今の日本には、高齢者、外国人、障害者、様々な方がいる。そんな中、誰もが日常で触れるものがパッケージだと思ったから、少しでも多くの人が使いやすいようなデザインを広めたいなと思っていました。
一方、イラストを描くことが好きだったのでデザインや色にも興味がありました。たまたまJETROの「世界は今」で外国人にも分かりやすいパッケージデザインなどを見たこともあって、ユニバーサルに「形」で携わるだけでなく、「視覚」で携わることも出来たらなと思っていました。
ただ、結局今は全然違う仕事をしているのですが。社会人を一年経験し、毎日目の前の仕事をこなす中で、就活時代にやりたかった「サステナビリティ」が自分の中でどんどん薄れていく感覚があって、忘れたくないなと思っていました。
そんな矢先、たまたまUC級を見つけて、「色のユニバーサルデザイン」というフレーズを見た時、私のやりたかったこととどんぴしゃだなと思い、受験してみることにしました。
3、勉強法
自己採点の結果は190/200点でした。
UC級は、合格点が160/200点と高めですが、合格率も高く、難易度は高くない検定です。
使用した教材は公式テキストと過去問のみです。
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1ヶ月前くらいから、通勤中などにゆるく勉強を始め、2週間前からの本格的に勉強を始めました。
基本的に、公式の参考書の黒字を覚え、過去問を2周くらいすれば合格点に達するかなと思います。
過去問を解くと、頻出問題が分かってくるため、頻出問題を重点的に勉強しました。
4、受験して良かったこと
・街中で施されている色の工夫・一方でまだ対策が打たれていない課題に気づけるようになったこと。
例えば、トイレのピクトグラム。白背景で水色とピンクのピクトグラムだとすると、正常色覚の人には左のように見えます。
でも、色覚以上の人には右のように見えるんです。
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これを、水色と区別しやすいようにピンクを黄み寄りの色にし、背景色と明度差がつくようにピクトグラムの色を濃くしてみます。
左が正常色覚の見え方、右が色覚異常の場合の見え方です。
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色覚以上の人にも、区別しやすくなるんです。
駅の改札、乗り換えの時に、この色の組み合わせなら色覚以上の人でも乗り換え先が探しやすいだろうなとか、店内でこの色だと看板を見つけにくいだろうななど、色に対してのアンテナが過敏になったこと、どんな工夫を凝らせるだろうと考えながら生活できるようになったように、新たな視点を得ることが出来ました。
・どんな仕事でも活かすことが出来る。
色の見え方は、色覚以上の方だけでなく高齢者も、変わってきます。特に青色が暗く見えることで、コンロの火が付いたかが不安になったり飲み薬の色の区別がつきにくくなったり。
私は営業職ですが、プレゼン資料を作成するときに、色覚異常・高齢者の見え方を少し知っているだけで、色の明暗に気を付けたり、セパレーションカラー(文字を縁取ること)を使用することで、誰にとっても見やすい資料を作ることができます。
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学生時代のアルバイトでも、どんな仕事でも、色・文字に触れることは必ずあるから、ユニバーサルカラーについての知識を持っている人が一人でも増えることで、社会はより「見やすく」「区別しやすく」「生きやすく」なるのではないかなと思います。
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男性20人に1人。色覚以上の割合は、決して少なくない数字です。
先日、知人が「このパーカー、水色に見えるんだよね」と、紫のパーカーを指して言っていました。彼には、紫を見分けることが出来ない。全然知らなかった、気づきませんでした。
実は、皆さんの周りにも、色覚異常の方はいるかもしれません。
社会にある『見えない躓き』を、私のほんの少しの知識と学びを少しでも取り除くことが出来たら。
少しでも多くの人に、UC級の存在を広めることが出来たら、幸いです。
◇◇◇
最後に、
学び続けられる社会人でありたいなと思います。
仕事では学べないことが、この世界には沢山溢れていて、でもそれこそが自分自身に新たな視点や気づきをもたらしたり、人としての厚みを増すものとなるのだと思います。
就活時代に希望していた仕事は出来ていないけど、それでもその想いを忘れないことは出来る。その世界に触れ続けることは出来る。そうやって、学び続けることでこれからのキャリアの可能性も広がるんじゃないかななんて、ワクワクします。✨
◇◇◇
読んで下さり、ありがとうございます!☺️
先日築地で美味しい海鮮丼を食べました🐟
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あこ