【完結編】VOL.7 新鮮!安い!直売所のあれこれっ! その③割り切った直売所編 ~地域移住のコレいい、コレあかん~
ちなみに12時と13時にもチャイムが鳴ります。昼寝してたら目が覚めます。
さてさて。
ついに長く続いた直売所3部作の最終となります。最終のテーマはこれっ!!
【安い!新鮮!直売所のあれこれー!“VOL.3 振りきった直売所編”】
VOL.1では概要編、VOL.2では問題編をお送りしてきましたが、VOL.3では具体的な例をもとに少しぶっ飛んだ直売所をご紹介させて頂きます。ぶっ飛んだといっても個人的には割り切っていてコンセプトとしては好きな直売所の意です。
ちなみに両直売所とも私の家から20分以内です。これを記事にすることで若干周りの目が怖くなります(※田舎は噂が回るのが都会の50倍以上速い!)。しかも尾ひれがつきまくる。汗
そもそも悪口を言うわけでないので勘弁とのことでお願いします。
それでは一つずつ紹介していきましょう!
① 道の駅 おおとう桜街道
まず名前がかっこいいよね(セレサポにはたまらない)。
九州エリアでは割と有名な道の駅でもあり、じゃらんが毎年発表している九州エリア道の駅ランキングでは上位の常連です(https://www.jalan.net/news/article/351559/)。
ちなみに大任出身の芸能人と言えば、この人。
この時点でクセが強い地域であることは説明するまでもないような気がする。
大任町は面積も広くなく、観光資源や産業面も正直乏しい。そして地方とは言え広大な農地を持ってるわけでもない。地方を活性化するには「外貨を獲得」しないと地域経済が活性しない、しかし外貨の獲得するための素材があまりに乏しいのだ。そこでできたのが「道の駅おおとう桜街道」である。
ここの割り切り方は「とりあえず人を集めれることは何でもしよー!」のノリである。
一般的に直売所では地元産品を多く販売し、来てくれたお客様がそれらを購入することで、地元の農家さんやその他地元の生産者に還元されていく。しかも以前のnoteでも記述した通り、生産者の手取りが高くなるのが直売所のいいところなのである。
しかし道の駅おおとうは販売されているほとんどの商品は地元産品ではなくいわゆる「仕入れ商品」なのである。周りからはこんな声が聞こえてくる。
「あそこの直売所はダメだ。お客さんが来るかもしれないが地元産品がないから結局外貨が地域外に流れていってる」と。
ある意味理にかなっている意見であり、直売所を運用するには大事な視点ではある。但し地元産品を重宝すると不都合も出てくるのである。
地元産品を多くすると販売できる商品も限られ(旬の野菜しかなくなる上、量にも限界がある)、さらに夕方には野菜なども品切れをし、お客様から「何なのこのお店は?買いたいもの全然ないじゃないの?」となる。かといって旬でない野菜やその他食材などを地域外から多く仕入れ過ぎると、地元の生産者から「この地域の直売所なのに地元の物以外を売りすぎじゃ!地元にお金が残らんじゃろ?(本音:私の商品が売れなくなる)」って言われる。
経営母体がJAや民間企業ならそこまで問題にはならないが、行政が大きく噛んでしまうと「自治体の予算で地域外の業者を太らすなー」となり、その中で直売所は無駄なバランス感覚の中で経営されることとなる。残念ながらそれは「お客様ファースト」の経営にはなりにくい。
話を戻すが、道の駅おおとう桜街道も行政の予算が多々入っている施設である。それなのに多くの商品が地域外の商品である。それでもいいと割り切っているのである。
先述した通り、大任町は他地域と比べて活性化できる素材が圧倒的に少ない。それを客観的に分かっているからこそ「力技」に出たのである。中途半端に「地元の産品をー」や「地元のよさをー」ではなく、予算をつけ「どの時期に何時に行っても豊富な品揃え(スーパー化)」で「温泉もあり」「フードコートもあり」「遊べる公園があり」「ゴーカートがあり」「お花畑もあり」そして「1億円のトイレ」まで作り、どの世代の人が来たとしても1日遊べる施設としたのだ。
短絡的には「町の予算で地域外にお金が流れている」かもしれないが、長い目線では「割り切ることでお客様ファーストが徹底でき、大任町のことを知り、リピーターが生まれ、結果地域での循環が生まれやすくなる」ことになる。
多くの人で賑わう土壌ができれば、そこから地域産品のアプローチもしやすくなる。「おおとう桜マンゴー」や「手作りニンニク球」など、面白い産品も多い。
そろそろひまわりの時期である。名前の通り桜から始まり、ひまわり、コスモス、冬のイルミネーションなどいつ行っても見ごたえのある施設であり好きな直売所である。
② 赤村特産物センター
赤村である。
もう一度言うが赤村である。村の名前が「赤(あか)」なんて村ある?ちなみに村内で赤色を見かけることは火事が起こらない限りはない。あっ!?紅葉はキレイである。
ちなみに全国約1,700ある市町村で色を単独で用いて表記しているのは「赤村」だけらしい。福岡県内ではもはや2か所しかなくなった村であり、信号機は村内に2機しかない。歴とした「むら」である。
ちなみに赤村出身の芸能人はこちら。
完全に親世代ではあるが、栄えある紅白出場歌手である。「赤村には電気も水道もない」との名言を残しているが、それは50年前の話であり残念ながら今は電気も水道も通っている。
そんな赤村にも直売所がある。それが赤村特産物センターである。
ここは赤村産の商品しか売ってない、まさしく上記の道の駅おおとう桜街道とは正反対なのだ。野菜は売ってる、肉も少しだけ売ってる、お惣菜も加工品も地元産のみ、魚は売ってないし、必要な食材も圧倒的に売ってない。そのような直売所なのだ。それでいいのか?赤村よ。
そもそも直売所は主に2つの顧客層があると言われている。「普段使いニーズ(地元の顧客層)」と「半観光ニーズ(遠方の顧客層)」である。優秀な直売所はこれらの層に対しての販売アプローチが明確である。
赤村は人口3,000名にも満たない村である。仕入れを増やしていくら品揃えをよくしたところで、上記の普段使いニーズは限られている。それならばと割り切ってしまい、「赤村」を感じてもらえる商品だけにしたのである。地元の野菜、地元の肉、地元のおばちゃんが作ったお惣菜やお弁当、お漬物やお味噌などの調味料と、挙句の果て「松ぼっくり」まで売られている。そして何故かお客さんを連れていくとみんな松ぼっくりを買っていく。
あくまで傾向ではあるが、普段使いニーズは当然ではあるが普段の買い物で欲しいものを購入する。要はスーパーに来ているのと同じ感覚である。逆に半観光ニーズは「その地域ならではの商品」を買い求めてくることが多い。そのような顧客層に対してのアプローチに特化している。
もちろん常に半観光ニーズの顧客層が絶え間なく来てくれるのかと言うと、それもなかなか難しい。その中で近隣の住民が多い圏内への販売も進めており、100万都市である北九州市では何故か赤村の知名度が高かったり、またはBtoBでの販促も強化しているよう。
知らなかったのだが、自前のECサイトまである。
最近では「ここは農業しかない!」と他地域ではない取組として有機農業の推進を行い、県内では唯一の「有機農業モデルタウン」にも認定されている。そこから「有機農産物(JAS取得)が買える直売所」の取組も進めている。一部のニッチな層なのかもしれないが、他の直売所とは一線を画した取り組みを進めている。
おそらく大任町も赤村もコンプレックスの塊のような地域なのだと思っている。知っている人は知っているが地域のイメージがあまり良くなかったり、そもそもの面積規模や産業素材なども恵まれていない。その中で活性するには、自分たちのできないことを知り、そして数少ないできることに限界まで振り切ることが必要なのである。
本日紹介した2か所の直売所は何とお隣(車で10分ほど)の距離だったりします、行ってみればよりこのnoteの意味がわかるかと思います。福岡市から約1時間半、北九州市からは約50分で着きますので興味がありましたら是非訪れてみて下さい。
最後までお読み頂きましてありがとうございます。
次回の地域移住のコレいいコレあかんは、地方の問題点のまさに縮図“商店街活性のあれこれ”をお届けします。
ではまたー