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#79 東南アジアで盛り上がる『コーヒーテック』の可能性

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Briefing

東南アジアで盛り上がる『コーヒーテック』の可能性

今東南アジアでは、テクノロジーを駆使してスマートにコーヒーを提供する「コーヒーテック」が投資家の注目を集めている。Crunchbaseのデータと『Rest of World』の分析によると、2018年以降の4年間だけで東南アジアのコーヒースタートアップは投資家から4億ドルを集めたという。

「コーヒーテック」とはその名の通り、テクノロジーを駆使したコーヒー企業のこと。デジタルの利便性とフィジカルな体験を組み合わせて提供する企業である。コーヒーの販売をデジタル化することでオンラインとオフライン、デスクトップとモバイルなど全てのチャネルでデータを取得し、個々の顧客に最適化されたマーケティングを行う。
コーヒーテック企業が運営するアプリでは配達、予約サービス、割引、ロイヤリティ会員などの機能を備えているのはもちろん、取得したデータをもとに新規出店のエリアを決めるなど社内でもテクノロジーやデータの活用に力をいれている。

インドネシアを代表するコーヒーテック企業であるコピ・ケナンガンは、設立から4年で45都市で600店舗を運営し、昨年の12月には東南アジア初の飲食ユニコーンとなった。

他にも、アプリ内で注文するとバリスタが電動バイクでやってくるヤゴ・コーヒーやロボットカフェRatio、特製コーヒーカプセルとハイテク自家醸造機 のメーカーであるMorningといった企業も急激に成長をみせ、注目を集めている。

しかし、デジタル化によってコーヒーの注文と受け取りが便利になっても、わざわざ店舗まで出向き、その場で注文して持ち帰る購買スタイルを好む層も依然として多い。コーヒーテックの今後の成長は、こうした消費行動の習慣や顧客の好みをどう変化させていくかにかかっているともいえる。

コーヒーテックをはじめとする飲食×テクノロジーの盛り上がりは、東南アジアに止まらず世界的な潮流でもある。コーヒースタートアップといえば、中国のラッキンコーヒーの急成長が記憶に新しいだろう。一時は米国で破産申請するなど成長に大幅なブレーキがかかったものの、最近になって復活の兆しを見せているようだ。さらにスターバックスもモバイルオーダーに力をいれるなど、大企業もこの分野に積極的に参入しはじめている。

飲食業界のテクノロジー導入が当たり前のものとなればそれにあわせて消費者の行動も変わり、コーヒーテック企業にとって追い風となっていくかもしれない。

あえてNYとLAではない 隠れた可能性を持つアメリカ中部の新興ブランド

ニューヨークで大人気のプロダクト、ではイリノイ州のピオリア市の人たちの反応はどうなのか?

この質問は昔からアメリカのマーケターが新しいプロダクトやコンセプトを試すときに聞く質問。ピオリア市は最もアメリカ全体を代表する街と思われるので、ピオリア市の人が受け入れると、アメリカ全体でもその商品が受け入れられると思われていた。

ただ、D2Cブランドの動きを見ると、この質問をしていないブランドが多いのがわかる。基本的にD2Cブランドの拠点はニューヨークやLAが多い。実際に483社が本社をニューヨークとして記載していて、230社がカリフォルニアと記載している。PRしやすい街でもあり、VCやブランディングの代理店の拠点の近くにあると考えると、東海岸か西海岸沿いにブランドが集まるのはおかしくない。だからこそよりアメリカ中部の市場機会を伸ばすブランドも多い。

水着ブランドのSummersaultはセントルイスに拠点を置いているが、2020年から2021年にかけて事業が800%成長した。男性向けのスキンケアブランドHuronもニューヨークに拠点を置いているが、多くのチームがオハイオ州にいて、海岸沿いじゃない場所をターゲットすることによって成長している。

過去のCEREAL TALKで沼田さんがメンションしたことがあるカウボーイブーツブランドのTecovasもそうだが、アメリカの中部で人気になるとかなり熱い客層が取れる。海岸沿いみたいな「Premium mediocre」の価格帯より下げないといけないが、人口で言うと圧倒的にニューヨークやLAよりも多い。次の大きいD2Cブランドはもしかしたらこう言う場所をターゲットするのが大事なのかもしれない。

過去に元米軍のメンバーが立ち上げたBlack Rifle Coffee Companyもそうだが、より愛国心を表現したがる人がいたりもする。さらにコロナの影響で都心部から中部に引っ越す人が増えたため、都心部と同じような商品や生活を送りたい人向けのマーケティングをするのも一つチャンスかもしれない。


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