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第2章【1】音大のオープンキャンパスと体験レッスン
注)写真は私がアフリカで仕事をしていた頃のもので、すべて私が撮影したものです。音大での写真が極端に少ないため、良い機会なので、いままで撮った、アフリカの写真をアップしていきます。日本編になる、今後の記事とはあまり(というか、まったく)関係ないものになりますが、楽しんで頂けたらうれしいです。
さて、この回から、アフリカを去って、日本編になります。
第二章は、いよいよ音大入学に向け、東京で、音大選び、入学試験にむけ走りだしたころの話です。
前回記事の予期せぬ出来事により、やっと音大入学を決意し、長期滞在したアフリカをあとにして、日本に帰国したのは夏の終わりであった。
私は、アパートを借り、入試までチェロを教えてくれる先生を探し、入学したい音大のオープンキャンパスに参加し始めた。
オープンキャンパスとは、学校案内のようなもので、学校施設やカリキュラムの説明、体験レッスンを受けさせてもらえるものが多かった。
かれこれ、といってもせいぜい5校だが、オープンキャンパス、もしくは、体験レッスンを受けさせてもらった。
体験レッスンとは、その大学に入学した際に師事したい先生のレッスンを無料、もしくは有料でも安く受講させてもらえるもので、だいたいレッスンはどの大学も50分くらいだった。
とにかく日本でチェロを習ったことがなく、先生の当てのない私にはとてもありがたい制度だった。私が入学した大学など、毎月オープンキャンパスを開催していたのだが、入試センターに相談すると、だいたい希望通りに、複数の体験レッスンを受けさせてくれた。
体験レッスンでレッスンをして頂いたチェロの先生方は、チェロをやっている、もしくは音楽好きなら誰でも知っている、私にとってはスターのような存在の先生ばかりだった。在京、または地方のプロオーケストラの首席チェリスト、フォアシュピーラーをしていらっしゃる先生が多く、アフリカでチェロの先生がいないことにもんもんとしていた私には、まさに、地獄から天国に舞い上がったようなものだった。
いま数えると、体験レッスンをして頂いた先生は、9人、、、、
おそらく受験生のなかでは多いほうだと思われるのだが、これには理由があった。私の場合、大人からチェロをはじめ、さらに、ちゃんとしたチェロの先生についていなかったため、おそらく私を教えるには、先生にまず、『へたくそな私を本当に教えてくれる気があるのか』、を私自身が見極めないといけない、ということがあり、さらに、そんなに受け入れてくれる先生はいないだろうという想定で、とにかくレッスンで数多くお会いして、状況を説明させて頂く必要があったのである。
チェロならず、他の楽器でもそうだと思うのだが、生徒がへただと、教えてくれないか、教えてくれても、かなりいい加減に扱われてしまう、という悩ましいことがある。生徒のほうが、それに早く気がつけば傷は深くならないうちに先生を変えたらよいのだが、なかなか気がつかないことも多いのではないかと思う。おそらく、教えてくれず、先生のほうからお断りされるケースのほうが、良心的であるといえるのだ。
実際、私が体験レッスンをして頂いた先生の中で、9人中、2人が、体験レッスンの終わりにやんわりと、お断りをしてくれたのだ。忙しい先生からしたら、私のような下手な学生に時間をかけて教える価値はない、ということなのだ。どちらも、プロオーケストラの首席チェリスト、メンバーの先生であった。
だからといって、私は意気消沈することはなかった。なぜなら、その先生方に、個人でレッスンをしていただく機会などめったに訪れないのであろうし、大学の体験レッスンの枠組みであったからこそ、1度でもレッスンを受けさせて頂けたことは、幸運以外のなにものでもなかったのだ。
次回は体験レッスンでの出来事などを。
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