#53 ちいさな記憶喪失
思考のスピードは速い。
そう感じる。
私のスピードが速いということではない。
ただ、思考のスピードにタイピングが追い付かないのだ。
そして思考とタイピングのタイムラグがどんどん拡大していく。
タイピングにも脳のリソースを少し割くものだから、止まらない思考はどんどん先へ行ってしまい、やがて見失う。
それを私は記憶の喪失であると認識する。
先刻、確かになにか刺激的なものが浮かんでいたはずなのだが、はて。
というようなことが最近とみに多い。
勿論、単に私の記憶力が貧弱であること、これは疑いようもない。
だが、精神のスピードに身体のスピードが追い付いていないことこそが忘却の一番の原因だ。
私の場合は、フォーカルジストニアの症状があるので、タイピングも平均的な人より頭を使っているだろうし、時間を要していると思う。その上、古いラップトップPCのキーボードの感度が悪くなってきているので、タイピングに煩わしさを感じてもいる。
精神と肉体の距離は縮まらない。そしてそのギャップは一生埋まらないのだと思う。
だが、思いつくものは私の脳から生ずるわけだから、再訪してくる可能性だって大いにあるだろう。それに期待して日々のちいさな記憶喪失を自然のものとして受け入れたい。
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