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そこに"土"があったから。千年瀬戸物が生まれる町で、おとな女子旅を満喫。
美味しい参鶏湯を食べていたら、「瀬戸に素敵なゲストハウスがあるから」と誘われ決まった瀬戸旅行。ほとんど下調べなしに訪れましたが、土から焼き物になるまで全ての工程がギュギュっと詰まっていて、町歩きと工場見学が地続き。これまで訪れたどんな町とも違う、暮らしと産業がそのまま文化になっている素敵な場所でした。
瀬戸物とは
瀬戸物は陶磁器の総称として使われることもありますが、基本的には瀬戸市で作られる焼き物を指しています。良質な陶土がとれる瀬戸は、千年前から焼き物の産地として栄え、時代の要請にあわせて様々な瀬戸物を生み出してきました。
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瀬戸に近づくにつれ、いたるところで焼き物や窯、販売店、そして焼き物に関する博物館や展示施設が目に入ります。
瀬戸物を知る
窯垣の小径
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瀬戸に入って初めに訪れたのがここ、窯垣の小径。ここは窯元の住居が密集していたエリアで、石垣の代わりに窯で使われる道具が再利用された塀や壁が続く路地になっています。
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現在はひっそりとした散歩道ですが、かつては、このエリアで焼かれた瀬戸物を担ぎだす人、商人、働き手が行き交う賑やかな道だったらしい。
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途中、資料館をみつけて立ち寄る。
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柱上のものが「ツク」、棚板は「タナイタ」。これらが小径の壁面に埋め込まれている。
部屋を移ると突然古いテレビが。そう、昭和の産業ビデオが流されています。昭和の映像は、ナレーションの言葉遣いや声のトーンが現代とは違っていたり、その背後にある価値観の相違(産業イケイケドンドンで、「環境破壊」の概念は不在)がひしひしと伝わってきます。いい・悪いではなく、当時の価値観はこうだったのか、を体感できる貴重な機会。インターネット上では出会えない、ここでしか見れない映像なので、産業ビデオをみつけると必ず見入ってしまいます。
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窓全開の部屋でビデオにかじりついていたので、足が冷えてしまいました。この日、瀬戸市の気温は5度。静岡より断然寒い。
足を温めるために資料館を出て、歩きだします。
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この小径、壁の装飾がかわいくて、目を離す暇がない。
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瀬戸蔵ミュージアムへ
窯垣の小径では数百mの範囲内をウロウロと、1時間しっかり満喫。すでに瀬戸物の町の空気をどっぷり肺に詰め込んだので、お次は「なぜ瀬戸なのか」を知るべく、瀬戸蔵ミュージアムへ。
ここで、瀬戸物が生まれた背景と歴史、そして陶磁器が生まれる工程をしっかり学べました。
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(写真のあたりは近現代)
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資料館で見たものを書き出すとキリがないのですが、瀬戸と瀬戸物の歴史のポイントは3つ(に私が勝手にまとめました)。
世界的にみても良質な陶土がある(その土をみつけて窯を始めたのが「陶祖」伝説上の人物)
陶器は5世紀から作られているが、磁器は19世紀になってから(磁器の技術を九州から持ち帰ったのが「磁祖」実在の人物)
陶磁器の生まれる工程のすべてが瀬戸にある
採土→製土→成形→乾燥・素焼き→絵付け→施釉→焼成(完成)→販売
初日からとても情報量の多い一日でした。
まち全体が大きな瀬戸物工場
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二日目、招き猫の絵付け体験以外は無計画だったのですが、焼き物工場に迷い込んだり、採土される瀬戸キャニオンを眺めたり、焼き物を買ったり。結果的に初日に学んだ全工程を体験していました。すごいことだ…
招き猫の絵付け
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招き猫や干支置物を手掛ける中外陶苑さんの施設です。
こんな体験があるのか、と小躍りしたのが招き猫の絵付け体験。塗り絵(当日持って帰れる)コースと、釉薬かけて焼成したものを送ってもらえる本格的な絵付けコースが用意されています。もちろん選んだのは後者のコース。
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(撮影:Yさん)
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手書きで繊細な絵付けを施す職人さんたちへ敬意を払わずにはいられません。
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焼き上がりは一か月後。届くのが楽しみです。
絵付け中は三人とも無言。集中力がちょっとでも乱れると、すぐに線が外れていきます。お茶碗にさらっとひかれた線一本、これがまったく簡単にはいかないことを知ります。楽しくて、夢中になってあっという間に午前中が過ぎました。
なお、絵付け体験の横には、招き猫ミュージアムがあるので、招き猫好きはこちらもおすすめ。広くはないけど全国の招き猫が集まっていて見ごたえあります。
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陶器工場に迷い込む
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招き猫の絵付けに時間をかけすぎて、お昼ご飯まで微妙な待ち時間になってしまいました。友人Aが「近くに陶器屋さんがある」と言うので三人で向かうことに。ところがGoogle mapで示された場所につくと、ここはお店ではなく工場では・・?
「あんたたちどうした?見に来たの?扉あけて中はいっていきなよ」突然、後ろから声が。驚いて振り返ると、おばあちゃんがニコニコ。ここがお店であってたの・・?と思いながら扉をあけると、工場!え?!
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中にいらっしゃったおじいさんが、見てけ見てけと案内してくれる。迷惑では?とか工場見学をいつもやってる場所だったのか・・?とか色んな思いがよぎるが、好奇心が勝ち、お言葉に甘えて見せてもらうことに。(工場好きとしては有難すぎる出会いでした。)
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炉の中もみせてもらった。温風が吹き出す。
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突然の訪問にも関わらず、優しく迎え入れてくださって、本当にありがとうございました。瀬戸旅の忘れられない思い出。望外の喜びです。
※いつも工場見学を受け入れているわけではなさそうなので、もしも工場を見たいという方は、イベントの日に瀬戸へ行くのが間違いなさそうです。来年は私も行きたい!
まちなかに溢れる瀬戸物
お昼ご飯を食べようと歩いていると、そこかしらに瀬戸物が見つかります。そもそもすべての橋に瀬戸焼が使われているのだ。
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川沿いを歩く。
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筆立ての瀬戸焼、商品名が絵付けされている。
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普通は食品サンプルとかでメニューを陳列すると思うんだけど、瀬戸物のオンパレードだった。
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道を歩くだけでも、新旧様々な瀬戸物に出会える。ちなみに瀬戸市には「瀬戸焼で暮らしを楽しもう条例」なるものがある。すごい町だ。
採土の現場"瀬戸キャニオン"
静岡に帰る前に、最後にどうしてもみたかったのが、採土の現場。Google mapでみるとスペクタクルな状況。瀬戸キャニオンの異名もあるそう。ぜひとも見たい。でもなぜか展望ゾーンがないとのことで、コツコツと地図を眺め、一か所だけ覗けそうな場所(窯神神社の駐車場)を発見し、寄ってきました。
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欲を言うならもっと近づいてみたいですが、無理かもと諦めかけていただけに、自分達の目で採土現場を見られて満足です。
神社の逆サイドからは、町を見下ろせます。
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左の黒い囲いがかかっている大きな建物が、瀬戸蔵ミュージアム。
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瀬戸キャニオンをぶじに垣間見て、今回の旅は終了です。
産地の凄味を体感した一泊二日。当初の無計画さからは想像できない、大満足の旅となりました。瀬戸市は、名前にたがわず瀬戸物の町でした。まだまだ見きれていない資料館や、歩いていないエリアがあります。絵付けだってもう少し修行して、再チャレンジしたい。2024年内の再訪を早くも計画しております。
宿やお食事のこと
すっかり瀬戸物と瀬戸のまちの話しに終始してしまいましたが、宿、お食事とお土産やさんもとびっきりに素敵だったので、紹介させてください。
宿:古民家ゲストハウス「ますきち」
そもそもは、Yさんから「素敵なゲストハウスに行こう」と誘われたのがきっかけ。正直に言うと、ゲストハウスは苦手意識があり、行くまではどきどき。ところが今回泊まった「ますきち」さんでは、そんな心配は無用でした。
ちらちらと風花が舞う夕暮れに、ますきちさんに到着。
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趣きある玄関、入ると大きな招き猫がお迎え。宿の方が気さくに部屋のことやおススメのレストランを紹介してくださっているうちに、どんどん"ホーム"な感覚に。
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旅情気分を誘う素敵な空間になっていました。
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間違いなく、 #泊まってよかった宿 です。こちらはストーリーがたくさん詰まった宿なので、行く前に読んでいくことをおすすめします。
モーニング:喫茶「ニッシン」
ますきちさんで教えてもらった、おすすめのモーニングのお店へ。さすが愛知はモーニングの文化。朝から地元の方々も食べに来ていました。
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美味しい。快適な空間でついつい長居しそうになる。
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お土産:ヒトツチ
ますきちのオーナーご夫婦のお店。素敵なものばかりギュっと集まっていています。とくにお二人から商品のストーリーを聞いてしまうと端から全部キラキラしてきて、選びきれない!三人とも大満足のお買い物になりました。
旅行記をまとめるとき、いつもはもっと絞ってそぎ落として3000文字以内(できれば2000文字ぐらい)の記事にしてるのですが、瀬戸旅行はあまりに思い出が多すぎて、削りきれませんでした。
長文で読みづらかったかもしれませんが、瀬戸の魅力が少しでも伝わったなら幸いです。
追記(1/31)
旅行から一ヶ月と少し経ち、絵付けした招き猫が静岡の我が家に届きました!一回りギュッと焼き締まり、ツヤが出て、顔料の色も鮮やかになり、一層かわいい招き猫とたちのご到着。この日が楽しみで、1月下旬にはいってから指折り数えていました。クリスマスのように。
瀬戸旅行は、1度で2度楽しめるのです。
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