広島・坂田怜に一縷の期待
近年、FA選手を獲得した球団が人的補償の隠れ蓑として使用している育成選手制度。これを廃止すべきではないかという声もチラホラと出ているが、この坂田を見ると育成選手でなければ編成上獲得することが難しい選手のロマンを感じるので素晴らしい制度だと思う。今回は、そんな超個性派投手について書いていくこととする。
何もかもが変則
先日、中日の育成ドラフト1位指名を受けた松山晋也について書いた時、「18.44メートルの遠投をしているような投げ方」と書いたが、この坂田は18.44メートルのスナップスローをしているような投げ方をする。恥ずかしい話だが、僕が初めて彼の投球練習を見た時は内野手が送球を安定させるためにブルペンで練習をしているのかと思ったことを鮮明に覚えている。それだけテークバックがほとんどないので、打者はタイミングを取るのに苦労するだろう。
そして、直球よりも無回転のナックルボールを多投するという日本ではためしのないタイプの投手だ。特にマツダスタジアムは屋外なので風が吹いており、それ次第では本当に揺れ動く生き物のような軌道の球を投げることができるのではないか。
制球力と対走者を克服できるか
いくら個性派とは言えど、直さなければ支配下の見込みのない部分もある。まず、制球力だ。球が荒れることは武器にもなるが、ストライクゾーンに入らなければならない。独特なフォームで投げるので、難しい話だとは思うものの投球練習を見ていると少し横手にして投げた時には非常にいい球が言っているように見えるのでそのフォームで固めて欲しい。見せ球程度に上手投げをするのは良いが、基本は横から投げるべきだと思う。
そして、ナックルボールという予測不能な変化をする球を信条としているので、捕逸は非常に多くなるだろう。そもそも、この球は100キロ前後なので走者からみたらこの上なく盗塁を仕掛けやすい選手なのではないか。なので、牽制の技術を上げることは急務である。この2つの課題を克服すると、野球漫画から出てきたような面白い選手となるだろう。
最後に
随分と前のこととなるが、独立リーグで女子選手が「ナックル姫」として一世を風靡したことを記憶している方はいるだろうか。この坂田は「ナックル王子」として一世を風靡することを期待している。