涌井秀章から髙橋宏斗へ

 先日、アルバイトが終わってから東海テレビの「ドラホット」を録画で見ていたら、日韓W杯世代である14年生まれの髙橋宏、土田龍空の2人が来季への抱負を語るという大変に結構な内容であった。その中で、髙橋宏がトレードで楽天から来た涌井秀章に春季キャンプで質問攻めをするというプランを明かしていた。今回は、彼が涌井から吸収して欲しい2点を書いていくこととする。

来季のローテ定着に向けて

 ここ数年、NPBでは高卒2〜3年目の投手の登板間隔を中10日とし、100球前後で降板させてしまう風潮が強まっているが、涌井が今季の髙橋宏の年齢だった頃の成績を調べるとなんと8完投で178もの投球回数を記録しているので驚きだ。翌年には完投数、投球回数をそれぞれ2桁、200に乗せエースに君臨。これだけ投げても目立った故障なくこんにち迄活躍を続けていることからもわかる通り、過保護に扱っても積極的に登用しても故障するか田舎は本人次第なのだろう。現にヤクルトの奥川恭伸は、中10日、100球前後という制限下で活躍をしたものの結局故障してしまった。

 髙橋宏に涌井のように、いきなり2桁完投や200回を投げろと言っても現実的ではないが、中6日でローテーションを守ることと規定投球回を達成することの2つを来季のノルマと定めて欲しいものである。それをクリアするために、涌井からの助言はかなりの近道となるはずだ。

真のエースとなるために

 僕が涌井こそが真のエースであると考える理由はいついかなる時も安定して勝ち星を積み重ねていることからである。優勝経験は平成20年の1度だけであり、決して強いチームでやってきた訳では無い中での154勝は非常に価値のある数字だ。

 髙橋宏は今季6勝。打線の援護があっ「たら」、味方の拙守がなけ「れば」のタラレバを嘆く声が5万とあるが、やはりエースであればチーム状況に左右されず「勝ち」にこだわって欲しいものだ。勝てない髙橋宏と勝ちに乗ることができる涌井を比較すると、明確な違いは力感の有無である。前者は1番から9番まで、全ての打者から三振を奪おうとしているような投球をするが、後者は上位打線に相対するやピンチの時のみ「本気モード」となり、下位打線に差し掛かると人を食ったように緩い球をストライクゾーンへと放り凡打を打たせるという老巧な投球を若い頃からしていたので、それを髙橋宏に伝授して彼を真のエースへと育て上げて欲しいものである。

最後に

 この2点だけではなく、涌井のマウンド上での所作も髙橋宏に身につけて欲しいポイントである。柳裕也や大野雄大のような感情を全面に出す気合いのエースとは対照的な、ポーカーフェイスのクレバーなエースとして移籍1年目から後進にいいお手本となるような活躍を期待している。

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