飛ばし屋アキーノが

 まさかこのレベルの助っ人が、NPBそれも中日に来るとは思ってもいなかった。シンシナティ・レッズでは2年連続で2桁本塁打を記録しており、MLB通算で41発と真の現役大リーガーと言える大物である。今回は、そんな竜の4番候補に期待するふたつのことを書いていくこととする。

「白球を処刑」する打棒に期待

肝心の打撃は少々粗いが見出し文にした現地報道の表現通り、力強いものを持っている。A.マルティネスが退団し、レビーラ、ガルシアを育成登録へと降格させてもなお左手団扇で阿部寿樹を放出することができた理由が今回の補強でわかった。

課題は三振の多さだろう。これを課題と書いたら、統計学の有識者の方々から「三振も凡打も同じアウトだろ」ときつくお叱りを受けそうではあるが、現場の首脳陣が極端に三振を嫌う理由は相手投手を心理的に乗せてしまうからだろう。特に、空振り三振ともなれば「今日の球は走っている」という念が入り、ピグマリオン効果の如く調子が上がってしまうケースは多いのではないか。ただ、かの三冠王・村上宗隆とてデビュー当初は三振王であった。「三振は本塁打への投資」と思えば、アキーノの三振は必要経費なのではないか。暖かく見守りたい選手である。

ビシエドに変わる4番へ

 現在、中日の4番にはビシエドが君臨している。彼は3割と2桁本塁打を計算することが出来る唯一の打者と言っても過言ではないだろうが、不動の4番と考えたらかなり物足りない数字となっている。特に、今季は決勝の好機という4番にとってこの上ない魅せどころで打順が多々回ったが、尽く凡打したり、その後を打つ打者が頼りないことから敬遠されてしまったりと彼に数字よりも悪い印象を持ってしまったのは僕だけでは無いはずだ。

 来季はこのアキーノが4番や5番にに鎮座し、ビシエドを3番に置きかかる重圧を少しでも減らして欲しいと願うばかりだ。

首脳陣を我慢させられるタイプの選手

 来日当初は不調でも、監督一下の首脳陣に我慢してもらい、その後飛躍的に数字が伸び「当たり」と称される選手と、早い段階で見切りをつけられる選手の違いは何なのだろうか。僕は「守備の良さ」にあると思う。

 わかりやすい例は平成29年に入団したゲレーロと令和3年に入団したガーバーである。両者ともに、デビュー当初は絶がつく不調に冒されたが、前者はその後我慢されて本塁打王に、後者は早い段階で見切りをつけられてそのまま1年で退団となってしまった。この違いは確実に守備と言っていいだろう。ゲレーロは三塁守備こそ拙かったものの、外野守備はさすが曲がりなりにも大リーガーを経験した選手だなと感心するものがあった。しかし、ガーバーにはそれがなかったのだ。攻守に消極的なプレーが続き、そのまますぐにフェードアウトしてしまった。

 このアキーノはどちらかと考えたらゲレーロのタイプだ。外野からの矢のような送球は100マイルを超えるというので驚きだ。

最後に

 来季の布陣がだんだんと見えてきた。更なる補強があるとするならば、トレードでは野手を、新外国人であれば投手を獲得するだろう。

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