【PL】交流戦で目立ったパのサードユニフォーム
交流戦の名物といえば、イニング間に演奏されるパシフィック・リーグの連盟歌だ。落ち着いた雰囲気のこの歌は、まさにパを象徴する歌に相応しいと言えるのではないか。今回は、その歌い出しにも登場するフィールドに浮かぶユニフォームに主眼を置き、交流戦で着用されたサードユニフォームを振り返ろう。
楽天・20thアニバーサリーユニフォーム
まずは新生・今江敏晃監督一下セ・リーグをケチョンケチョンにした楽天から。今季20周年ということは、感動の日本一を達成した時点ではまだ創設9年目だったというのは驚きである。そんな楽天の記念ユニフォームは、個人的な感想を言うとイマイチなものであった。
まずは観察してみよう。上下セパレートタイプで上がカラージャージ、下は通常のホーム・ユニフォーム同様に白パンである。昇華プリント特有の柄が入っており、その柄自体は立体的に見えてとても面白いデザインだ。よくあるイベント時のユニフォームと言った感じか。ただ、20周年の要素を感じられないのだ。黎明期から長いこと使われていたパイピング加工や、初優勝時の独特な背番号フォントを取り入れたら面白かっただろう。
オリックス・サードユニフォーム
サードユニフォームを「サードユニフォーム」と銘打って打ち出しているのは珍しい。変な企画の名前をつけるよりも、この方がデザインやカラーに縛られないのでいいのではないかと感じる。そんなオリックスは今季からサードユニフォームを変更した。昨年までは白地に紺色のストライプを入れたニューヨーク・ヤンキース風のデザインだったが、今季は全身紺色地に金色のストライプとかなり奇抜なデザインになった。
このユニフォームには刺繍の素晴らしさを感じる。何かと軽量化が重視されるのがトレンドではあるが、胸には大きく「BUFFALOES」の文字。背番号も大きく見やすいのだ。注目すべきは刺繍の縁どりだ。胸マークがストライプと同じ金色なのに、背番号や胸マークが見やすいのは敢えて生地と同じ紺色で縁どり刺繍を施しているからだろう。これによって、ストライプとマーキングが被って見えることを阻止しているのだ。やはりオリックスのユニフォームへのこだわりは、圧倒的に他球団を凌駕しているだろう。
ロッテ・ネオクラシックユニフォーム
ロッテも昨年までのCLMユニフォームを一新。アニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」にて、「光の球場」という話で舞台になった東京球場を本拠地としていた時代のユニフォームをオマージュしたものだと言う。ただ、当時の大毎オリオンズはニューヨーク・ヤンキース風のデザインだったが、このネオクラシックユニフォームは完全にシカゴ・ホワイトソックスをオマージュしていると感じる。その中でも帽子はまさにSOXをCLMに変えただけのデザインだ。
デザインの素晴らしさは言うまでもない。誰が見ても「いい」と感じるユニフォームなのではないか。ロゴだけでなく、背番号フォントにも拘っている。ユニフォームは料理と同じで、手間をかければかけるだけ素晴らしいものになる。そんなデザインだけでなく、このユニフォームのもうひとつの素晴らしさは遠征先でも着用するという点だ。上下グレー地なので、ビジター・ユニフォームとしての条件もクリアしているのだ。ただこれはセ・リーグではできない。ビジター・ユニフォームに広告を着けるのを禁じられているからだ。
交流戦では見られなかったものも
それでは、惜しくも交流戦では見られなかったものも良作ぞろいのサードユニフォームを見ていこう。(試合でまだ使っていないものは取り上げません。)
西武・西武ブルーユニフォーム
まずは西武から。これまで「レジェンドブルー」と呼称していた往年のチームカラーであるスカイブルーを「西武ブルー」と言う名前に変えた。やはり白地にスカイブルーのユニフォームは間違いが起こらない。今回のユニフォームも落ち着きの中に力強さを感じるデザインである。
ただ、スカイブルーの他にもアクセントとなる色を入れて欲しかったというのが本音である。西武といえば、球団歌にも登場する「青、白、赤、緑」の4色ではないか。また、水色の帽子に水色のLマークというのも字が見ずらい。広島のビジター・ユニフォームにも同じことが言えるが、オシャレよりも視認性を意識して欲しいものだ。
ソフトバンク・ピンクフルユニフォーム
昔は「タカガールユニフォーム」と銘打っていたが、ジェンダーへの意識からか「ピンクフルユニフォーム」となった言わずと知れたサードユニフォームだ。黄色い部分をピンクに置き換えただけデザインは、可愛さの中にソフトバンクらしさも共存している素晴らしいユニフォームに見える。今ではほとんどの球団がやっているガールズデーの先駆けとなった逸品だ。
日ハム・エスコンフィールド1周年ユニフォーム
MLBでは地域の伝統をユニフォームのデザインに込めた「シティコネクトユニフォーム」が話題だが、日ハムはそれの上を行く「スタジアムコネクト」だ。全身黒地のユニフォームにFIGHTERSの胸マーク。その上にエスコンフィールドの屋根のような模様を乗せたデザインは画期的だ。日ハムの伝統である、左右非対称のユニフォームもマーキングの色を左半身をスカイブルーにし、右半身は白にするという手法で成立させている。このユニフォームは外国人選手やハーフの選手が着ると映える。マルティネスや万波中世、水谷瞬が着ると大リーガーさながらの雰囲気を醸し出す。夏には「ファイターズ」というチーム名の50周年記念ユニフォームも控えており、今季も日ハムは奇抜なユニフォームで楽しませてくれる。
最後に
やはりパ・リーグは、こうしたサードユニフォームなどの企画はセ・リーグを凌駕していると感じる。またオールスターの休み期間に、まとめて書こう。