その12 決断
高校生に私はなった。仲いい友だちは他の高校へ行ってしまい不安しかなかった。この性格、この容姿。知らない人ばかり。同じ中学で仲良くない子同士で最初は集まったり話したりしていた。気さくに話しかけてくる野球部だったであろう子がいた。席が近いのもあってか自己紹介などもあったからかそこから打ち解けてはいく。しかし私はいつもこの時から口元を押さえていた。鼻を、唇を見られることが嫌だったし怖かったから。指摘されて、バカにされて周りから人がいなくなることが怖かった。
何より嫌だったのは男子グループにいたこと。男の子のノリというものにどうしてもついていけない。思春期真っ盛りな彼らはエロ話などで盛り上がってなにが楽しいのかわからなかった。でも、合わせていた自分がいた。しかし隠し通せるはずもなく私の女々しさや滑舌の悪さは次第にからかわれるようになる。この時からであろうか、私は大学病院の定期検診で学校での現状の悩みを打ち明けた。すると先生は手術を提案してくれたのだった。内容は腰の骨の中にある硬い部分の骨を軟骨がない鼻に移植するというものだ。
自我が芽生えてから大きな手術がしたことなかった私は正直怖かった。腰に傷を入れて鼻に骨を入れるなんて…また見える場所に傷ができるのか…。怖い、嫌だ…でもこのままの顔で生きるのも嫌だ。
私は食い気味にやりますと伝えた。先天性のもののためお金は免除される部分も多く、あとは選択のみだったがコンプレックスの潰れた鼻をどうにかしたかった。少しでも綺麗に、人並みに。
このときは口唇口蓋裂で産まれたことにやり切れない気持ちを抱いていた。
普通に産まれていたら、こんなことしなくて済んだのにと。そんなモヤモヤを抱えながら夏休みの手術をむかえることとなる。
明日は手術と入院編を書きます。