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その16 人生観を変えた経験

なんの面白味も目標もないまま平凡な高校生活を送っていた私だがチャレンジ精神は旺盛で高2の頃は文化祭で合唱のピアノを弾いた。もちろん小さい頃に経験しただけで大して上手くないが、唯一弾ける女子がなぜか意固地になって弾かなかったのだ。

思春期のせいか友達といたいのもあったのか。ともなるとギリギリまで誰も弾く人がいない最悪な状況。もはやこちらもヤケだ。放課後ずっと練習して本番を迎えたが緊張からなのか途中で指が止まってしまった。伴奏のところだったためすぐに弾き直しなんとか弾き終えた。多少のトラブルはつきものだがその瞬間は頭が真っ白になったのを覚えてる。

このときから支えは話したこともない他のクラスの男子。少し前まで、なので10年ほど好きで忘れられない彼にメールしては返事がくることに喜び支えられた。

そして高3、進路や将来について真剣に考える時期がやってきた。なんだかんだみんな考えてないようで考えてる。私は変にいやらしいとこがあるので内申を上げようといろんな行事に参加しようと試みた。それで経験したのは夏に東京で行われた全国の高校生が集うユースフォーラムという弁論大会。そして箏曲部で選ばれたハワイへの国際交流。私の夏は有意義なものとなった。

とはいえ東京にハワイと日にちも近く弁論大会の文章の見直しや琴の練習と青春していた。夏休み、初めて一人で行く東京。同じ高校の人も3人きていたが別々のグループだったため私は同じ科の人と打ち解けるかわからなかった。ちなみに私の科は家族について。応募の際私が書いたのは父親のこと。内容が内容のため周りに言えなかったからこそ文字にした。作文などの書物は好きだったしそれだけは賞を毎回いただいていた。

初めての顔合わせ。同年代から年下まで様々だ。議題を話し合う。最初はきっとみんなまだ心を開いてないからテーマについて黙々と話し合っていたが発表前の夜。とある子の家庭の打ち明けから私も父親のことを話した。誰かに話したのは初めてだったし受け入れられた時に涙が凄く溢れた。みんなも泣いてくれた。そんな経験があるからこそ私は家族や結婚への思い入れがしっかりしているのかもしれない。

仲良くなった同室の男の子。彼は気さくで誰とでも仲良くなる人。そんな彼と進路の話になった。彼は私にとって衝撃の言葉を発する。
「俺早稲田行きたいんだよね」

ん?早稲田?えっそんな凄い人と過ごしてたの?えっ凄く頭いいじゃん。

なんて思ってたらそんな思惑を見破られたのかそんな頭よくないけどねと付け足された。

それでも早稲田を目指すと話した彼はなんだか輝いて見えた。私がそんなこといったら馬鹿にされて笑われるだけだろうなと。だから羨ましくも思えた。

テーマ発表も無事に終わりみんなと離れるのが悲しいなと思いつつも忘れられない経験は終わりを告げた。

彼は早稲田には叶わなかったが今は素敵な家庭を持ちパパとして頑張っている。
他のメンバーも充実した生活をしてるだろう。私達はあのとき血は繋がってなくとも「家族」だと言い合えた関係なのだから。

地元の田舎では絶対に経験できなかっただろう。私のなにかが揺さぶられた。そして余韻に浸る間もなく次はハワイの国際交流へ。

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