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【140字/空想】青い時間の約束

雨降る午後の画廊。
指先を青に染めて微笑む彼の後ろで
画面から立ち上がる
海と空が溶けあって一つになった。
待っていたよと彼が言った。
ずっと、ずっと。
音もなく時間が巻き戻り、
打ち寄せる波のように私を包み込む。
全身を駆け巡る世界に息をのんだ。
ねえ、ほら。
誰の心の奥底にも
遠い日の約束がある。

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