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【140字/空想】耳の底のさかな & 【日記】9/11 メモリアルに寄せて

遥か遠くからやってくる音に空を仰げば
途方もなく愉快な驚きに満たされた。
あれはなんの曲だったろう。
雨上がりの窓辺、
ご機嫌なメロディに
小さな僕らの残した落書き。
ちっぽけな水溜りのおたまじゃくしが今、
鱗を煌めかせて悠々といく。
雲をかき分けるその音に僕らは笑った。
世界がここから始まるよ。



アメリカ、晴天の9月11日の夕方です。
あの日も、晴れていました。
ブルックリンのサンセットパークから
何もなくなったロウワーマンハッタンを見ました。
パークには人がいっぱいで、
でも誰一人口をききませんでした。
みんなじっと立ち上る煙を見つめていました。

やがて、
私の部屋の上にもその白煙が流れてきて
ひどく嫌な気配に満ちた匂いが
その後もずっとずっと私たちにつきまとい
ニューヨークを埃っぽい憂鬱の中に
長く閉じ込めました。

それでも気がつけば23年。

今日はロングアイランドでのあちこちで
メモリアルイベントがありました。
あの日の痛みを悲しみを決して忘れない。
けれど私たちは前を向いて歩いていく。
胸を張ってそうすべきなのだと思っています。

そして、
できるならば笑っていこうと思います。
夢を掲げてみんなで笑い合いながら
遠くどこまでも歩いていこうと思います。



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